ストラング先生の謎解き講義
エドワード・D・ホックとともに短篇の名手といわれるブリテンが1967年から書き続けた、高校教師ストラング先生の探偵談傑作選。ストラング先生はオルダーショット高校の生物教師で、誰よりも長く高校に勤め、いつもよれよれの服を着たさえない男だが、事件が起きる名探偵ぶりを発揮する。
ストラング先生の初講義     Mr.Strang Gives a Lecture
ストラング先生シリーズの第1作。
ストラング先生の受持生徒の一人に強盗の疑いがかかった。それもよりによって先生の車を使っての事件だった。警察によるとその生徒はガソリンスタンドでアルバイトをしていて、ちょうどその日に先生の車も整備のためにスタンド預けられていた。
スタンドが閉まった後、生徒は車を使い1マイルほど離れた食堂に行き、食堂の建物と塀に挟まれた狭い路地に車を入れた。当然車が邪魔になるので、食堂の主人が車に近づく。そこを殴って昏倒させ、店の金を奪ったというのだ。食堂の主人は、車に乗っていた男が、不良グループのネーム入りジャンパーを着ていたことから、警察はそのグループにも入っているスタンドでアルバイトをしていた生徒を犯人と断定したというのだが…

ストラング先生の博物館見学     Mr.Strang Takes a Field Trip
ストラング先生の生物のクラスが、社会科見学の授業で博物館にやってきた。最上階の哺乳類展示室に入ってしばらくすると、隣室から大声が聞こえた。隣室はインディアン関係の展示室だが、そこに展示してあった黄金の仮面が紛失したと、その部屋担当の館員が騒いだのだ。
その展示室には先生のクラスの2人の男子生徒が入っただけだという。そこに通じている出入口は哺乳類展示室と、主に荷物の搬出入に使うエレベーターのみだが、エレベーターは内側からしか開かない。当然館員は、生徒2人が黄金の仮面を盗んだというのだが…

ストラング先生、グラスを盗む     Mr.Strang Lifts r Glass
ストラング先生は2人の生徒とともに、ブッチャー百貨店社長のウェイド・ブッチャーを訪ねた。ブッチャー社長は、先生のかつての教え子だったのだ。先生たちが社長を訪れた目的は寄付金集め。それも半端な額ではなく、1000ドルという纏まったものだった。
ところがブッチャー社長は学生時代のある行為で先生に恨みがあり、簡単には寄付に応じない。挙句の果てに百貨店内にあるグラスを、見つからずに店の外に持ち出せたら寄付に応じようと挑戦された。
百貨店では最新の監視カメラ体制と警備員により万引き対策は万全だった。その厳しい状況の中、先生はグラスを外に持ち出さなければならなくなった。

ストラング先生と消えた兇器     Mr.Strang Finds an Angle
秋の終わりの放課後、ほとんど人がいなくなったオルダーショット高校の廊下で歴史教師のクロフトンが何者かに襲われて瀕死の重傷を負った。その直前に取っ組み合いの音がし、4人の用務員が駆けつけ、意識を失っているクロフトンと2人の生徒を見つけた。
クロフトンと生徒がもみ合い、クロフトンは鈍器のような凶器で頭を殴打されたようだが、その兇器が見つからない。生徒の弁護士は凶器が見つからないのだから、クロフトンがひとりで転んで頭を打ったとしか考えられないと主張し、生徒を告発するなら兇器を示せと迫ってきた。

ストラング先生の熊退治     Mr.Strang Hunts a Bear
オルダーショット村に住む富豪レティシア・ボールトは、家庭的には恵まれない人で、9歳の孫ボビーと2人で暮らしていた。もちろん2人の身の廻りの世話は使用人がしてくれるのだが、ボビーは重いリューマチで車いすを使わなければ移動できなかった。
その日、ボビーはレティシアからインディアンと熊の怪談話を聞いたあと、いつもの習慣通り自室に入って昼寝をした。ところがいつまでたっても目が覚めない様子に使用人たちが騒ぎ出した。
部屋は内側から施錠されており、レティシアも駆けつけたが応答がなく、鍵を使って入ってみるとボビーは何かに怯えたような状態で死んでいた。それから6ヶ月後、ボビーの死は自分の責任ではないかと気に病んだレティシアはストラング先生に相談に来た。

ストラング先生、盗聴器を発見す     Mr.Strang Discovers a Bug
何らかの問題を抱える生徒のために、午前中は高校で勉強をし、午後は働くという労働学習制度。その制度の適用を受けたヴィンス・クウェールは、ビリック氏の自動車販売会社で働いていたが、そこを首になった。
理由はパトカーの入札の際に、ヴィンスがビリック氏の入札額を敵対する会社に漏らし、その結果入札に負けたためだった。入札額を決めたのはビリック氏と整備主任のキャリッシュの2人だけで、社長室に籠って最終決定し、その場で書類に掻き込んで、締め切りギリギリに役所に書類を持ち込んだ。
だが敵対会社は、その30分前にビリック氏の会社より50ドル安い額の入札書類を提出していたという。ビリック氏の社長室にその間は入ったのは、食事を運んだヴィンスだけ。専門家に調べさせたところ盗聴器の類は一切なし。
そこでビリック氏はヴィンスが決定したばかりの入札額が記載された書類を盗み見たヴィンスが、敵対会社に情報を漏らしたと激怒したのだった。

ストラング先生の逮捕     Mr.Strang Under Arrest
かつて高校で歴史の教師をしていたクリフォード・ベリンジャーが、雨の夜に車にはねられて重傷を負った。意識不明で道端に倒れているところを、図書館員に発見されたのだ。図書館員は仕事を終えて帰る途中であった。
雨のために現場から手掛かりはほとんど見つからなったが、事故をおこした車のヘッドランプの破片が見つかった。その結果、3人の男が容疑者として連行され、その中にはストラング先生も入っていた。

ストラング先生、証拠のかけらを拾う     Mr.Strang Picks Up the Pieces
ストラング先生のもとに教え子が訪ねてきた。司法試験に合格し、今度弁護士としてデビューするのだが、その最初の事件というのが宝石店からの盗難事件だった。夜、宝石店のショーウィンドのガラスが割られ、現場から黒人の若者が逃げ出した。
若者の名はクリフォード・ホイットリーといいオルダーショット高校の生徒だった。ホイットリーはすぐに現場近くを巡回していたパトカーに逮捕された。宝石店からは高価な指輪3点が無くなっていたが、ホイットリーは犯行を否認し、指輪も所持していなかった。
宝石店の向いの洋品店では、主人がマネキンの着せ替えをしており、さらに用品店の前では宝石店の従業員が新聞を読みながらタクシーを待っていた。2人はガラスの割れる音で頭を上げると、そこからホイットリーが逃げ出すところだったという。
ホイットリーは突然背後でガラスが割れてので、驚いて逃げただけだと主張したが警察は信じてくれない。話を聞いたストラング先生は事件を調べることにした。

安楽椅子探偵ストラング先生     Mr.Strang, Armchair Detective
オルダーショット警察では、大都市の捜査員ホルベックを招いて講演会を行い、その後高級レストランで会食をしたのだが、その席にストラング先生も招かれた。ホルベックは田舎の人間を見下すタイプで、これに我慢ならなくなったストラング先生とトラブルになった。
その結果、ホルベックが抱える未解決の事件を、ストラング先生が安楽椅子探偵で解決することになってしまう。その事件とは、新しい5階建てのマンションで起きた事件だった。
5階の住人が喧嘩をし、しかもその最中に大音量でレコードをかけているという苦情が警察に通報された。すぐに警官が2人駆けつけ、通報したすぐ下の4階の住人から話を聞いた。
その間、なるほど5階ではレコードをバックに、大声の口論がずっと続いた。警官が階段を上がると、いきなり静かになり、5階の部屋をノックすると喧嘩ではなく芝居の稽古をしていたと言われた。
しかし5階の部屋の中には肉切包丁が置かれ、壁や床には真っ赤なペイントが塗られていた。まるで殺人を暗示するような雰囲気だ。しかしいくら調べても5階の住人以外影形もなく、階段やエレベーターも人目に付かずに使用できる状態ではなかった。いったい喧嘩相手はどうやって消えてしまったのだろうか…

ストラング先生と爆弾魔     Mr.Strang Battles a Deadline
オルダーショット高校に爆弾を仕掛けたとの手紙が舞い込んだ。ただちに生徒や教職員には避難指示が出され、消防と警察に連絡された。実はその手紙は過去に教会や市庁舎が爆破されたときの手紙と同じタイプライターで打たれ、文面も似通っていた。
ただの悪戯ではなく、このままでは高校は爆破されるのは明らかだった。なんとか爆破予告時間までに爆弾を見つけなければならないが、そこで頼りにされたのが誰よりも古くから高校にいるストラング先生だった。

ストラング先生、ハンバーガーを買う     Mr.Strang Buys a Big H
授業中に呼び出されたストラング先生は、ほとんど説明を受けずにある子供の家庭教師をするために、政府の人間とオールだーショット警察の刑事とともに車に乗った。途中、その子供のためにハンバーガーとポテトとミルクを買った。
雨で駐車場が満車だったので、それらを買ったのはストラング先生。そのまま車は屋敷に入り、先生はハンバーガーのトレイを持って雨の中を走り、屋敷に入った。執事の出迎えを受け、そのまま少年の部屋に向かった。
そこでまずミルクのパックを開け、少年の愛猫に与えたところ、猫はあっという間に痙攣を起こして死んでしまった。ミルクに青酸が混入されていたのだった。ハンバーガーやミルクは少年のリクエストで買ったもの。だれかが少年を殺そうとしたのだ。しかもそれらを購入したのは先生だし、猫に与えられるまでずっと先生が持っていたのだった。

ストラング先生、密室を開ける     Mr.Strang Unlockes a Door
卒業を決める最終論文を提出してきた生徒のうち、アーサー・オズグッドとラルフ・ミラレッジの論文は一字一句全く同じものだった。どちらかがどちらかの論文を盗作したのは明らかだった。
ラルフはアーサーが盗んだと主張し、その証拠に自分の論文は3週間前に完成し、その直後にコピーを取って厳重に封函して自分宛てに郵送していたから、それより後の1週間目に仕上がったとするアーサーが盗んだのだと証拠を挙げてきた。
今、その封筒がストラング先生やガスリー校長の前で開かれた。厳重に封をされた封筒の中から出てきたのは、まさにラルフの論文のコピーだった。ラルフは父親が著作を守るためによく行う行為を真似たというが、ストラング先生はどうも納得できないものを感じていた。

ストラング先生と消えた船     Mr.Strang and the Lost Ship
同窓生からニューイングランド地方に招待されたストラング先生だったが、雪が積もった中ではることがなく、退屈至極だった。そこで冬季休業中の村の博物館を開けてもらい見学することになった。
博物館の学芸員とブロア村長が付き添って博物館に入ったが、途端に村長が大声をあげた。展示しているボトルシップの中の船が無くなっているのだ。ところが話を聞くと、この展示物は船よりも瓶の方が格段に価値があった。
なにせ瓶は、この村にあったとされる幻のガラス工場で作られたもので、そのガラス工場製のものは、この世に一つしかなかったからだった。つまりその瓶だけがガラス工場の存在を証明する世の中唯一の瓶だったのだ。それを知ってか知らずか、犯人は船だけを苦労して盗んでいったのだった。

ストラング先生と盗まれたメモ     Mr.Strang and the Purloined Memo
ストラング先生の所へ、卒業生チャーリー・アンシンガーが訪ねてきた。アンシンガーの勤める会社から、極秘のメモが盗まれたというのだ。メモが競争相手に渡れば大打撃になる。盗んだのは誰かわかっていた。
保守係のフィリップ・ホルツであった。盗むところを目撃されたのだ。だが報告を受けたアンシンガーはホルツを泳がせた。誰と接触するか見たかったのだ。ところがホルツは家に戻ると籠ったまま外出をせず、ついにアンシンガーはホルツの家に踏込んだ。
ホルツを連れ出して身体検査をし、ホルツの住まいを徹底的に調べた。だがメモは見つからなかった。いったいメモはどこにあるのか、困り果てたアンシンガーは先生を訪ねたのだった。


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