ソープ・ヘイズルの事件簿
Thrilling Stories of the Railway
書籍収集家にして鉄道愛好家、趣味の鉄道好きが高じて鉄道関係の事件が起きると俄然興味を示し、今では鉄道専門の探偵といわれるソープ・ヘイズルもの9篇と特定の探偵役はいないが鉄道ミステリ6篇を集めた短篇集。
ピーター・クレーンの葉巻     Peter Crane's Cigars
ネザートンの町で新しく煙草屋を始めたピーター・クレーンだったが、その高級葉巻の値段は、どう考えても安すぎだった。その話を聞いたソープ・ヘイズルは、クレーンが密輸をしているのではと疑いを抱く。ヘイズルがクレーンがの跡をつけると、クレーンはロンドンに出て大陸列車に乗り込んだ。
その後クレーンは、不審な動きをし、それを見たヘイズルは密輸に違いないと確信したのだが、どうやって密輸品を持ち込むのかが謎だった。

ロンドン・アンド・ミッドノーザン鉄道の惨劇     The Tragedy on the London and Mid-Northern
ロンドン・アンド・ミッドノーザン鉄道マニングフォード駅に到着したロンドン発の急行列車の車室で、頭を強打して死亡した男の死体が見つかった。
往復切符の所持状況からマニングフォード駅に到着する前10マイルの区間内で死亡したらしく、調査するとその間にいくつかある線路をまたぐ陸橋のひとつに頭がぶつかった跡があった。
男はどうやら窓から顔を出していて、陸橋のぶつかり命を落としたと関挙げられたがソープ・ヘイズルは事件に不審を抱き現場を調べ始めた。

側廊列車の事件     The Affair of the Corridor Express
この頃の英国によく走っていた、車両の片側に側廊と呼ばれる通路が走っている列車。その車内でホレス・カー=メイザー少年が誘拐された。
少年は父親からの電報で呼び出されて、ロンドンの自宅に帰る途中誘拐されたものだった。車室には少年と付き添いの教師がいたが、少年は側廊で景色を見ているうちにいなくなり、車掌と一緒に列車全体を座席の下から荷物棚までくまなくさがしたが少年は見つからなかった。

サー・ギルバート・マレルの絵     Sir Gilbert Murrell's Picture
貨物列車からベラスケスの貴重な絵画を積んだ貨車が1両消えてしまった。その貨車は編成の中間部に連結されていて、駅を出た時点では確かに連結されていたが、次の駅では消えていて、前後の貨車が連結された状態だった。つまり貨車は列車の走行中に抜き取られてしまったのだ。

いかにして銀行は救われたか     How the Bank Was Saved
ある銀行が重要な資金と金塊を支店に輸送することになり、出納係とヘイズルが現金と金塊の入った鞄を持って列車に乗り込んだ。この金が支店に届かなければ、銀行は取り付け騒ぎに巻き込まれ倒産してしまう。
実はそういう状況に落ちいったのも、黒幕がいて銀行を倒産させようと動いたからだった。当然輸送には黒幕の見張りがつき、途中で鞄を奪おうとするに違いない。そのために鉄道探偵のヘイズルが同行したのだが…

ドイツ公文書箱事件     The Affair of the German Dispatch-Box
役所から盗まれた重要な機密文書がドイツ大使の手に渡り、この度フォン・クリーゲン大佐が使者となってドイツ本国に運ばれようとしている。輸送の際にはドイツ秘密警察の屈強な2人も同行するという。
この情報に接した当局は、ヘイズルに対してどんな手を使ってもいいから、輸送途中に文書を奪い返してほしいと依頼した。そこでヘイズルは牧師に変装して、大佐と秘密警察の2人が乗る車室に強引に割り込んだ。

主教の約束     How the Bishop Kept his Appointment
ヘイズルが乗った支線の列車が脱線し、機関車の車軸が折れて運行不能となった。一緒の車室に乗り合わせ口げんかした主教が、重要なスピーチに間に合わないと困った様子。そこでヘイズルは主教がなんとかスピーチに間に合うように、一緒に線路に沿って歩きだした。

先行機関車の危機     The Adventure of the Pilot Engine
要人を乗せた特別列車がロンドン・アンド・イーストミッドランド鉄道を走ることになった。もちろん計画は極秘であったが、ある国の諜報機関がその計画を入手し、特別列車の運行を妨害する活動を開始した。
それは特別列車に先行する機関車を奪い、逆走させて特別列車と衝突させるという悪魔のようなものであった。そして、その計画通り進行し先行機関車は逆走を始めたが…

盗まれたネックレース     The Stolen Necklace
ヘイズルのところにやって来た若い女性セント・ジョン・マラビーがいうには、舞踏会の帰りに乗った列車の車室の中でダイヤのネックレスを盗まれたという。当時車室には舞踏会で一緒だった貴族の御曹司ケストロンがいただけだった。
ケストロンはあまり評判のよくない男で金にも困っており、ヘイズルはケストロンを疑ったがマラビー嬢は絶対に違うという。では、とさらに細かい話を聞いたが、検札係が切符を調べにきた以外は誰も車室に近づいた者はいないとのことだった。

臨港列車の謎     The Mystery of the Boat Express
事件は臨港列車で起きた。かすかな外国訛りの男が一人で車室に入ると、車掌に鍵を掛けるように要求し、車外の扉の鍵は自分で掛けて密室状態を作った。だが次の駅についてみると、その男は車室の中で頭をリボルバーで撃ち抜かれて死んでいたのだ。それも明らかに他殺の様子だった。

急行列車を救え     How the The Express Was Saved
ミッドノーザン鉄道の労使対立はストライキに発展し、ついに過激派の2人の工夫は、鉄道会社の総支配人が乗っている急行列車を脱線転覆させる計画を立て、線路を外していたが、その邪悪の作業の最中に人が現れた…

鉄道員の恋人     A Case of Signalling
貨物列車の機関士ジム・ハーヴェイの新たな助手となった若者ジョージ・レッドベリーには、毎日走る鉄道線路に沿って恋人がいた。ある家で住み込みの女中をしており、そこを通過するときにジョージと恋人は互いにハンカチを振りあって、モールス信号で会話を楽しんでいた。
ところが恋人の家の主人は鉄道員嫌いで結婚に猛反対。そんなある夜、主人夫妻が出かけて恋人が留守をしていた家に2人組の泥棒が入り、恋人を縛り上げた。ちょうどその頃ジョージの乗った列車が近づいてきた。

時間との戦い     Winning the Race
フランスとドイツは外務大臣への会見を争っていた。利害が対立し、先に会った方が絶対に有利だったのだ。ドイツの使者はフランスの使者の25分前を走る列車に乗り、一方フランス側は特別列車を仕立てた。
しかしフランスの使者は差を15分にしか縮められず、このままではドイツの勝利に終わってしまう。そこでフランス側は鉄道専門家を雇い、ドイツの使者の乗る列車をある細工を持って遅らそうと画策を始めた。

ストの顛末     The Strikers
製鉄地帯にあるノースベリーの町で労使紛争に端を発した暴動が起きた。ついに軍隊が派遣されることになり、団体急行列車が仕立てられた。一方暴徒は警告しても鉱石列車の運行を辞めない鉄道会社にも矛先を向け、ついに駅に乱入して列車を襲い、機関車を切り離してこちらに向かっている急行列車に正面衝突させようと暴走させてしまった。

策略の成功     The Ruse that Succeeded
ロシアの諜報員コラヴィッチは、ルーマニア問題の情報をフランスの機関に流したことで祖国ロシアの秘密警察に目をつけられ、その監視下にあった。そのコラヴィッチをフランス当局は大陸に渡したいのだが、そうしようとすればロシア当局は絶対に阻止する行動を起こす。
そこでフランス当局は何とかコラヴィッチを大陸に渡すべく計画し、コラヴィッチを列車に乗せ、それを追ってきたロシアの秘密警察員を強引に妨害した。ロシア人たちは別の列車で追いつき、何とか港を離れる寸前でコラヴィッチを抑えようとした。フランス当局としてはロシア人たちの乗る列車を十数分遅らせれば無事にコラヴィッチを大陸に脱出させられるのだが…


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