出雲信仰殺人事件

1992年の大晦日の朝、新宿副都心にある高層ホテルの17階の一室で死体が発見された。ベッドに全裸で横たわった33歳の銀行員で、部屋の中には8匹ものハブが這い回っていた。そして死体の太ももの付け根と首筋にはハブに噛まれた跡があった。
銀行員の地元は奈良で、大晦日の忙しい日なのに、担当する東京の資産家から呼び出されたとのことで、東京に出張してきていたが、資産家はアメリカ滞在中で、出張理由自体が虚偽だった。
一方、初詣の準備に忙しい出雲大社近くにあるホテル八重垣では、ホテルの開発プロデューサーとして雇われた平田均が、ホテルのオーナー須賀宏に頼まれて出雲空港に東尾という東京の不動産業者を迎えに行った。
ホテル八重垣はホテルとは名ばかりで、場所も悪く大きくもなく売りにするものもない、早い話が三流と言っていい旅館だった。父親の死でオーナーとなった宏は旅館の改革に乗り出そうとして、平田を開発コンサルタントとして雇い入れたのだった。
ところが東尾がホテル八重垣の買収に動き出した。それも目的があってのことではなく復讐のためだった。宏は旅館を継ぐ前は新聞記者だったが、その記事により東尾の父親は故郷の出雲を追われ、東京で宏を恨んで死んだのだ。そして今、息子の東尾が宏を困らせる目的でホテル八重垣を買い取ろうとしているのだ。
さっそく東尾と宏のバトルが展開されるが、予想外の事件で休戦となった。元日の未明、稲佐の浜という海岸で男の死体が見つかった。そのそばにはなぜかセグロウミヘビの死骸が置かれていた。男は長谷部憲二という北海道の牧場主だったが、矢作賢作という偽名でホテル八重垣に宿泊していた。
矢作は大晦日の夕食前に姿を消したきりで、行先も言わずにホテルから消えてしまっていた。それから1週間ほどして平田は、友人の若い推理作家朝比奈耕作を出雲に呼んで事件の相談をした。
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