王様のトリック

北アルプスのふもとの町にある松平伯爵邸に5人の男たちが集まってきた。「王様のトリック」という作品で新人賞を受賞したミステリ作家校條(めんじょう)賢一、横浜に住む英会話教師トーマス・ムーア、ベテラン俳優御木本秀和、北陸の有名寺院の住職ながら金と女の好きな生臭坊主槙原慈紹、それに世界的なテニスプレーヤでオリンピックのメダリストでもある水野卓也。
いずれも与党の凄腕幹事長黒澤周明からの極秘の招待状によって、呼び集められたのだ。松平伯爵邸は、敗戦で没落したが104歳まで生きた元貴族松平久蔵が住んだ邸で、今でもその末裔が暮らしていた。
5人が揃った頃から雪が激しく降り出し、やがて吹雪となったが、ホストである黒澤幹事長はまったく姿を見せず、田中と名乗る男が現われて、幹事長の指示で5人を山奥に建つ奇厳城と名付けられた別邸に案内するという。
一同の間にざわめきがあったものの、黒澤の威光の前には大きな騒動にならず、一同は奇厳城に向かった。しかし雪は激しくなるばかりで、やっと奇厳城についたころには危険な状態になっていた。
しかも城には誰もおらず、田中は隙をついて車で逃げてしまう。一同は猛吹雪の中、山奥の孤城に閉じ込められてしまった。聞けばこの奇厳城は、晩年に被害妄想になって身の危険を感じた松平元伯爵が、危険を避けるために建てたものだという。
さらに真っ赤な部屋の壁にはスペード、クラブ、ダイヤのキングと2枚のジョーカーが壁に貼り付けられ、スプレーで書かれた死の宣告文。それによれば犯人は5人のうちの2人、そして犠牲者は未定、最後にはミスターMのサイン。
そういえば集められた5人のイニシャルは全員がM。5人の間にたちまち疑心暗鬼が生まれたが、そんななか第一の死者が出た。奇厳城にあった唯一の食糧であるカップ麺を食べた人物が毒死したのだった。
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