続垂里冴子のお見合いと推理

東京湾に面した基地の町観音市にある垂里家は、一路と好江夫婦とその3人の子供冴子、空美、京一の5人家族。冴子と京一は本が好きな控えめな性格、空美だけは米兵と奔放な遊びをする問題児だった。
目下のところ垂里家の最大の問題は30代半ばになろうとする長女冴子の結婚。見合いを何回しても縁がないのだ。そんな冴子の結婚をせっせと世話するのが好江の姉の通称「お見合い界の孤高のハンター」こと合子。人脈を生かして縁結びをするのが唯一の生きがいなのだった。だが、プロの合子の腕をもってしても冴子の見合いは一筋縄ではいかないのだった。
湯煙のごとき事件
大学受験に失敗した垂里京一を元気づけようと、姉冴子と空美は京一と3人で伊豆の温泉宿にやって来た。たまたまその温泉宿の女将が、姉弟の母好江と短歌仲間で、招待されたのだった。本来は好江も行くはずだったが、風邪をひいてしまい3人だけの道中となったのだ。
ところが空美は酒ばかり飲んで、しまいには本ばかり読んでいる冴子や京一と口喧嘩し、その勢いでひとり深夜の露天風呂へ向かった。しかし露天風呂は営業を終わっており、仕方なく宿へ戻る。その途中にあった子宝の湯はまだ明かりがついていた。
冷えた体を暖めようと空美は子宝の湯に入る。そこには女の先客がいたが、どうも様子がおかしい。近づいてみると全く意識がなく、死んでるようだ。助けるにも重くて仕方ななく、あわてて宿へ戻って応援を呼んだ。旅館の女将と一緒の子宝の湯に戻ったが、そこには確かにいたはずの女の影も形もなかった。

薫は香を以て
垂里冴子の新たなお見合いの相手は、エステチックチェーンの研究所に勤める野上俊一という男。その話を耳にした空美は、ある計画を思いついた。空美はエステに通いたいと強い願望を抱いたが、先立つものが無くバイトの毎日。ところがこれでは金がたまる前に、年老いてしまうと焦っていたのだ。
そこで思いついたのは姉の冴子の名を騙り、野上の婚約者として割安な料金でエステに通うこと。能天気で楽天家の空美は、すぐに観音市にあるエステに向かい、まんまと騙してエステを受け始めたのだが…

動く七福神
観音市内の寺から大黒様が盗まれて、後には受験七福人と署名された紙が残されていた。受験生による盗難事件と疑われた。そんなおり、京一の通う予備校の古文の教師榎本の家で、息抜きの鍋を囲んでのパーティが行われた。が、その席でも床の間に置かれた七福神のうち福禄寿の像が消えてしまった。
さらに数日後、京一たちが初詣に向かった寺にあるはずの弁天様の像も盗まれてしまっていた。いったい誰が何のために七福神の像を盗んでいるのだろうか…

靴男と象の靴
垂里家の二女空美がデートに向かう途中、駅の階段で転び、片方のハイヒールが折れてしまった。仕方なく記憶を辿って駅前商店街にあるガリヴァー靴店で修理を頼むことにした。その靴店には初めて入ったが、中年のくたびれた女絵馬子とその弟楠男がやっているようだった。
靴の修理は楠男の担当であったが、さんざん靴の酷さを言われて空美はいい加減くさった。そこに中年男が入って来たが、これが絵馬子の亭主。金をせびりに来たらしいが、楠男と殴り合いの喧嘩をする始末。散々な目にあった空美が家に戻ると姉の冴子の縁談話の真っ最中だった。その相手というのが今いたばかりのガリヴァー靴店の楠男だった。


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