垂里冴子のお見合いと推理

東京湾に面した基地の町観音市にある垂里家は、一路と好江夫婦とその3人の子供冴子、空美、京一の5人家族。冴子と京一は本が好きな控えめな性格、空美だけは米兵と奔放な遊びをする問題児だった。
目下のところ垂里家の最大の問題は30代半ばになろうとする長女冴子の結婚。見合いを何回しても縁がないのだ。そんな冴子の結婚をせっせと世話するのが好江の姉の通称「お見合い界の孤高のハンター」こと合子。人脈を生かして縁結びをするのが唯一の生きがいなのだった。だが、プロの合子の腕をもってしても冴子の見合いは一筋縄ではいかないのだった。
春の章 十三回目の不吉なお見合い
垂里家の長女冴子の13回目のお見合いの相手は、39歳になる銀行員で支店長候補の黒沢智彦。お見合いは観音市の中心にある観音グランドホテルの喫茶室で行われたが、その席上智彦が突然立ち上がり、少し先の席にいた男女と口論を始めた。
その男女は中年男と東南アジア系の外国人女性で、その場は収まったが、どうも智彦は外国人女性と何らかの関係があるらしい。話を聞いた空美は京一も誘って3人で探偵をはじめ、外国人女性の住居を探し当てた。ところがそこには全裸の智彦の死体が転がっていたのだった。

夏の章 海に消ゆ
夏のある日、冴子のお見合いが観音ビーチホテルで行われた。今度の相手は防衛大卒のエリート自衛官豪田剛。豪田家は、剛の父親も祖父も曾祖父もすべて海上自衛隊か旧海軍のエリートという軍人一家であった。
ところがお見合いの席で、剛もその母親も冴子のことは二の次で、窓外に広がる海を虚ろな表情で見つめることが多く、会話も途切れがち。そのうちに剛が中座してトイレに行った。剛がトイレに向かう様子はホテル売店の従業員も見ていた。
しかしそれから20分以上たっても剛は戻らなかった。剛はトイレ行ったまま消えてしまったのだ。トイレから出たかどうかはわからないが、その後は売店の前を通るしかないのに、売店従業員は目撃しておらず、ホテルの協力でホテル中チェックされたが自衛官の姿はかき消すように消えてしまった。
その話を聞いた剛の母親は「海に消えた」という言葉をつぶやくと失神してしまい、回復したあとも同じつぶやきを繰り返すばかりだった。

秋の章 空美の改心
男に振られた空美は、見合いをバカにしていた今までの考えを改めて、見合いをしたいと言い出した。そんなときに冴子に舞い込んだ縁談を、強引に横取りするようにして星川製薬の御曹司星川真司とのお見合いの場に臨む。
一同心配は俄か淑女の空美はあちこちでぼろをだしかねないことで、当日は他の事情も重なって姉の冴子が空美に付き添い、危ないところはフォローずることになった。しかし所詮は俄仕込みだからぼろが出て、懐石の席の後にお茶席に移るころには空美もいじけていた。
その状態でお茶の席がはじまってすぐのこと、真司が突然に苦しみだした。仕方がないのでお見合いを中断して家に戻ることにしたが、駐車場で今度は入院している真司の父親の容態急変が告げられた。そしてその夜真司の父親と真司が相次いで息を引き取ったのだった。

冬の章 冴子の運命
何度やってもうまくいかない冴子の見合いに、伯母の合子は同類婚の法則を持ち出して、文学趣味の冴子にはやはり文学畑の人間を世話することにした。そして選んだのが作家の篠山荒野。
2人は見合いの席から意気投合して、熱く文学を語り合ったが、どうも篠山には暗い影が付きまとう。そのことは伯母の合子も気づき、合子から聞いた空美も心配していた。暗い影の正体は篠山の周囲に起きる死にあるらしい。
篠山は2歳で両親の亡くし、その後養子に出されたが養父母も同時に事故死、さらに婚約者も自殺しているというのだ。しかも自殺した婚約者の弟が、自殺の原因は篠山にあると言っているらしい。このまま冴子が篠山と付き合えば、冴子に死が訪れるかもしれない。心配した空美はある行動に出た。


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