生ける屍の死

全米各地で死者がよみがえる怪現象が続発した。
ニューイングランドの墓の町、トゥームズヒルで大々的に霊園を経営するバーリーコーン一族の鼻つまみ者、パンク少年のグリンとパンク少女のチェシャが久しぶりに一族の本拠スマイル霊園に戻ったのも、そんな怪現象が続いているときであった。
スマイル霊園では一族の長スマイリーが遺言を書き換えると言い出し、一族の者がスマイリーに呼ばれて集まった席でグリンはコーヒーを飲み、その後にスマイリーが食べるはずだったチョコレートを食べた。
一族の者がスマイリーの話で戸惑うなか集まりは散会しグリンも部屋に戻ったが、その直後苦しみだして死んでしまった。だが、グリンはすぐによみがえった。怪現象がバーリーコーン一族のあいだにも起きたのだ。
コーヒーを飲んだ者はグリンのほかにもいたし、砂糖も複数の者が使っている。一方、チョコレートに毒が入っていたとすると狙われたのはスマイリーということになる。
いったい毒は誰を狙ってどういう方法で盛られたのだろうか?グリンはよみがえったことをパンクの化粧でごまかし、その事実を霊園顧問で死学専門のハース博士だけに打ち明けて、毒を盛った犯人を捜すことにした。
だが捜査は思ったほど簡単ではなかった。残ったチョコレートは分析の結果毒は混入されておらず無害なものだったし、コーヒーカップはすぐに洗われてしまい、ほかに砂糖を使った人間に異常は見られなかった。

そうこうするうちにスマイリーが遺書を残して自殺し、その後継者となった長男のジョンが殺される。
ジョンは霊園内の執務室で背中をナイフで刺されて殺されていたのだが、執務室のある廊下に取り付けられたビデオによれば、執務室には誰も出入りしておらず、また窓も内側から施錠されていたのでジョン殺害は密室状況下で行われたことが明らかになった。
ところが、そのジョンもよみがえってしまった。そして背後からいきなり刺されたので犯人の姿は見ていないという。警察も介入したがジョン殺害の謎は深まるばかりで、そのうちに更なる事件が起きた…

死者がよみがえるという設定のうえ、舞台は霊園という特殊な環境で起きる事件。一歩間違えばヨタ話に終わってしまうのだが、本格ミステリの要素はキチンと入っていて解決もあざやか。
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