妖精島の殺人

派遣社員柳沢洋輔は出勤途中の電車の中で美しい女性を見かけ、ひと目で虜になった。さらに会社に行くとその女性、名を欄間真希といったが、同じ職場の派遣社員として働くことになったという。
有頂天の柳沢だったが、もともと妄想癖の強い男なので、妄想の世界に浸るだけで満足し行動には移れなかった。ところがある日、ひょんなきっかけから2人で話をする機会を得、そのときに勢いで食事に誘ってしまった。そして驚いたことに真希からOKをもらった。
その夜食事をしたのまではよかったが、翌日から真希は出社しなくなった。都合で職場を変わるのだという。がっかりする柳沢だが、真希をあきらめきれず、いろいろと調べたりした結果、真希の親しい友人留美とコンタクトがとれた。
その後真希から留美経由で柳沢宛に手紙が来た。暗号がらみの手紙で、どこかの島にいるらしいことが判明。さらに手紙の消印等からあたりをつけ、Q県の沖合いある竹原島にいるらしいとわかった。
だが竹原島は個人所有の島で、島自体が関係者立入禁止であり、近づく手段すらなかった。島の所有者は郷原潤一郎、資産2兆円ともいわれ、日本の実業界を代表する郷原グループの総帥だった。
郷原は島を買い取り、そこに妖精をテーマにした施設を造ったようだ。ただしそのテーマパークはあくまで潤一郎個人の趣味のためのもので、一般に公開したり、営業に使うものではなかった。郷原自身も人嫌いで、表面に立つことのない人物だったから、竹原島は謎に包まれた島となっていた。
マスコミでも取り上げられ、取材で強引に近づいた者もいたが、その人物は瀕死の重傷を負わされた。もちろん刑事事件として立件され、犯人も捕まったが、それ以来誰も竹原島に近づこうとはしなかった。
柳沢はそんな竹原島に、何とか舟を調達して近づいたところ、そこには中世ヨーロッパを模した街並みと、妖精城と名がついた城があった。しかも柳沢は城に泊まることができたが、その夜妖精に出会うという不思議な体験をした。
しかも、妖精の一人が真希であり、柳沢は真希と島を逃げる算段をした。だが島の用心棒に見つかり柳沢は重傷を負って意識不明になり、真希は死んでしまう。
柳沢の意識が回復したのは、郷原総合病院でだった。警察の事情聴取で体験を語るが、誰も信用してくれない。柳沢自身も夢ではなかったかと思うほどだった。だが、ここにそうではないと思う人物がいた。祖父が探偵だったという貧乏学生真野原だった。
真野原は柳沢の話を聞き、そのほとんどは本当に起きたことだと断言。一緒に住む同じく貧乏学生の森崎と、1学年下の神木菜緒子とともに事件を調査することにした。
島田荘司と新本格作家のメインページにもどる
Mystery Collection Mainへもどる


Last modified -