八月の降霊会

富士山麓にある資産家水屋家の別荘に集まった人々。
女流作家の南澤秀子はどこか浮世離れした人物で、渡部司は公立図書館の秘書から秀子になかばスカウトされる格好で数ヶ月前に秘書になった。
安達優三郎は大手百貨店の専務の娘婿となり、手段を選らばない強引な仕事ぶりが義父に気に入られて出世し、現在では社長の地位にあった。
真名木美鶴はインチキ霊媒師であったが、2年前に別居中の夫を呪い殺して警察に調べられ、もちろん不能犯で逮捕はされなかったが、それ以来霊媒師としては活動をやめていた。
佐久間繁夫と保子の夫婦は、繁夫が占いの館を経営し、保子はそこで占い師を勤めるが、詐欺で前科二犯。繁夫は酒好き、女好き、ギャンブル好きの無能力者であった。
佐久間夫婦と美鶴は以前は組んで仕事をしていたが、繁夫と美鶴には肉体関係があり、それもあって佐久間夫婦と美鶴の間は疎遠になっていた。

別荘の主は水屋一族の放蕩者水屋征児で、甥の水屋智と水屋寧の2人とともに集まりに加わった。今回の集まりは降霊会が目的で、霊媒師として美鶴が指名されていた。
美鶴の娘のいずみは美鶴が当然断ると思っていたら、なぜか美鶴はやめていた降霊を行うと言い出し、いずみも一緒に水屋家の別荘に行くことになった。
そのほかに別荘には、今回の集まりのために雇われた執事の吉岡義一とメイドの田中逸子。吉岡はリストラにあったホテルマンであったが、逸子は接客は素人で本人もなぜ雇われたのかもわからなかった。

そして降霊会が始まるが、降霊会は余興にすぎないものであった。美鶴の口からは招待者たちの過去が次々に暴露されていくが、最初のうちは留年したなどという他愛のないものであった。
ところが後半になると、明らかに犯罪絡みの事件が暴露され始めた。その標的になった人物は動揺して部屋から逃げ出したり、怒り出して席を蹴って退室したりした。
なんとなく気まずい雰囲気で降霊会はお開きとなったが、美鶴は降霊会の最中から気を失った状態が続いて起きなかったし、ほかの参加者も疲れた表情で自室に引き取った。
だが部屋に入っても眠れない者がほとんどで、酒に身を任せる者も多かった。そしてこの夜、参加者の一人が失踪し、一人が殺された…
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