猫島ハウスの騒動

神奈川県の太平洋に沿った架空の町葉崎市の先端にある通称猫島。干潮時には葉崎の海岸と陸続きになって歩いて渡れるために、いつしか葉崎の一大観光地になった。
猫島が観光地化したのはその地理的な条件のほかに、猫の天国の島であったこと挙げられる。猫島の猫は人間の数よりはるかに多い100匹以上。これが猫好きの人間にはたまらない。
島内はどこにいっても猫だらけだし、土産物も猫ずくし、そして猫島神社では狛犬ならぬ狛猫が出迎え、猫の厄除けまで行われている。
その猫島の人気のない入り江で、ある日ナイフを突き立てられたぬいぐるみの猫が見つかった。ほかのところならイザ知らず、猫の島では大事件だった。
ぬいぐるみ事件は警察にまで持ち込まれて、島中の人間が知るところとなった。そして警察の捜査でぬいぐるみから覚醒剤反応が出たとあっては、島の人間でなくとも興味を示す。

ぬいぐるみ事件から3日がたち、今度は猫島の裏側の入り江近くで、マリンバイクと人間の衝突事故があった。問題になっているマリンバイクの暴走族の前に人間が降ってきたのだ。
バイクは人間を避けられず衝突、降ってきた人間もバイクの人間も両方とも死んだ。たんなる事故とも考えられたが、降ってきた人間の方が覚醒剤の密売に関係があるとわかって、にわかに殺人説が浮上。
自殺や事故よりも覚醒剤がらみで島から海に突き落とされたと考えたほうが、辻褄が合うのだった。長閑な猫の天国であった猫島が俄然騒がしくなってきた。
島では覚醒剤が取引されていたのかもしれない。そう考えるとこのところ島では以前には考えられないことが起っているではないか…
ぬいぐるみ事件を筆頭に、ほかにも島のマップが土産物屋から万引きされたり、猫好きの人間ばかり泊まる民宿に猫に関心のない人間が泊まったり、猫島神社の鳥居で男女が深夜ことに及んだり…
いったい猫の天国の島はどうなってしまったのか?
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