死体を買う男

青風社という小さな出版社が発行する雑誌「月刊新小説」に「白骨鬼」と題する小説が掲載された。作者の名はどこにも書かれていなかったが、どうみても江戸川乱歩が未発表作品のようであった。
白骨鬼の内容は…江戸川乱歩が創作に行き詰まり休筆を宣言し、広宇雷太と変名を使って南紀白浜の三段壁の旅館に投宿する。
そこは自殺の名所であり、海に飛び込んだ者は潮の関係で人食い岩と呼ばれる海底の洞窟内に流れ、そこで白骨化してその骨すらよほどの偶然がない限り上がってくる事はないという。
乱歩はその崖から飛び降りようとしたが、間一髪塚本直という青年に助けられる。生きる決心をした乱歩は宿に戻るが、その宿に塚本直も投宿していた。
だが塚本直は月恋病という奇病に罹っていた。夜になると女装をし、月を眺めて過ごすのであった。乱歩はその話を聞き、塚本直の部屋を覗いたところ、そこには女装した姿があった。
やがて女装した男の死体が、三段壁の一本松に首を吊って死んでいるのが見つかった。発見者は大風の夜にたまたま様子を見に着て死体を見つけ、駐在に駆けつけた。
ところが警官とともに戻ると、首を吊ったロープや死体が来ていた着物や履物は残っていたものの、死体は消えていたのだった。
この話を聞いた乱歩は友人の萩原朔太郎とともに推理合戦を繰り広げていく…というものであった。

名作を発表したあと大した創作はしていないが、過去の名声はまだ衰えない推理作家細見辰時は白骨鬼を読んで、懇意の青風社社長に小説警察の経緯を訪ねる。
その答えは白骨鬼は、もちろん乱歩の未発表作などではなく、ある青年の作であるという。細見はぜひその青年と会いたいと望んだ。その理由は…
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