長い家の殺人

越後湯沢にあるゲミニー・ハウスは冬はスキーのロッジ、夏は学生のサークル向けの合宿所として営業されていた。
ロック・グループ「メイプル・リーフ」のメンバーは、解散ライブに向けての合宿のために、久しぶりにゲミニー・ハウスにやってきた。メンバーは戸越、武、山脇、市之瀬、駒村の男5人と三谷真梨子の計6名。
ゲミニー・ハウスの部屋は廊下に沿って15の部屋が並ぶ長い造りで、各部屋はギリシャ文字でα,β…οまで部屋名が振られていた。
到着後すぐに演奏をはじめたメンバー。そして夕食後にはアルコール。やがてメンバーの中の皮肉屋戸越が眠気を覚えて自室であるο号室に引き上げた。
それから数時間、今度は麻雀。麻雀好きな戸越を起こしに行ったが部屋にはいなかった。どこかにいったのだろうと、そのまま翌朝までほっておいた。
だが、戸越は翌朝になっても姿を見せない。メンバーは手分けして越後湯沢の街中を捜すが見つからない。あきらめてゲミニー・ハウスに帰ると何とο号室の中から戸越の絞殺死体が見つかった。
部屋に入った戸越は、一旦行方不明となり、次には死体となって戻ってきたのだった。しかも検証の結果、死亡推定時刻は昨夜の8時から10時。ちょうど麻雀を始めた時刻ごろだった。

戸越殺しの犯人は見つからず、当初は楽観的だった警察も焦り始め、露骨に「メイプル・リーフ」のメンバーを疑い始めた。しかし決め手はなく、迷宮入りに向うかとも思われた。
一方メンバーの一人を失った「メイプル・リーフ」は、戸越追悼の意を込めて新宿のライブハウスでラスト・ライブを開いた。ところがライブの最中に三谷真梨子が行方不明になる。
仕方なく真梨子抜きでライブを続けたが、観客の一人が空の控え室で真梨子の死体を見つけた。戸越と全く同じように絞殺されていたし、メンバーがその直前に血眼で真梨子を捜したときにも控え室には誰もいなかったという。
真梨子もまた戸越と同じく、一旦行方不明となり、次には死体となって戻ってきたのだった。
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