透明人間

10年前の冬、雪の降り積もった夜のこと、小田理美の父親は夜になって出かけていった。親一人、子一人の生活になれてはいたが、まだ小学生の理美は急に不安になった。
少しして父親のことを捜しに行ったが、どこを捜していいかわからず、取敢えず父親と初詣に来た近所にある無人の神社に行ってみることにした。
普段でも寂しい神社は、雪の降った後の凍てつく夜でもあり、人などいないと思ったが、神社の石段には足跡が一筋着いていた。きっと父親のもに違いない、と感じた理美は怖さも忘れて石段を登った。
本殿の前に父親はいた、雪の中に倒れて、頭から血を流して…そう父親は死んでいたのだ。しかし幼い理美は理解はしても父親の死を受け入れることができず、いつしか父親の死体の側で眠ってしまった。
理美が気づいたのは病院のベッドの上だった。誰かに発見され、病院に収容されたのだった。父親は死んでいた。しかも他殺。警察の調べでも、現場には父親と理美の足跡しかなったという。
警察はさすがにまだ小学生の理美が父親を殺せるはずがないと考えたようで、事情は聞かれたがそれ以上のことはなかった。しかし父親を殺した犯人も見つからなかった。

小学生だった理美は独りぼっちになり、親戚の間を転々とし、中学、高校を終えた。ようは親戚の間をたらいまわしにされたのだ。その間、遺産と家は弁護士の仲間が管理してくれていて、高校卒業後理美は遺産として相続した家に戻った。
父親が殺されて以来、理美は孤独だった。学校でも友達はできず、いつも一人。学校でも暗く無口で、陰湿ではなかったがいじめられた。
やっと学校を卒業したが、やはり独りぼっちはかわらなかった。そんな理美には自殺癖があった。自殺しようとしたことが3度。その3度目、陸橋から飛び降りようとしたときに助けてくれたのが飯島鉄雄。理美と鉄雄の付き合いが始まった。理美にはじめてできた恋人だった。
やがて理美の父親が死んで10年になった。そんなとき弁護士の仲間から電話があった。昔、父親が研究していた資料が家に残っているはずだという。その資料は理美も知らない家の地下室にあるので、父親の勤めていた会社の人間と捜しに行きたというのだ。
飯島と一緒に立ち会うことを条件にして理美はOKし、仲間は4人の人間を連れて理美の家にやって来た。父親の書斎に地下室への入口が隠されていた。
今は理美が所有する家の地下には、広大な秘密研究所があったのだ。仲間をはじめ5人の人間と理美と飯島、全部で7人が地下に降りた。
しかし何者かに入口を閉ざされ、7人は地下室に閉じ込められてしまう。そして弁護士の仲間が首を斬られて殺されたのを初めに次々と殺人が起きた。
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