殺意は青列車が乗せて

天地龍之介と従兄弟の光章が遭遇する色がらみの事件を描く連作。
龍之介、黄色い部屋に入ってしまう
岐阜県にある自然に囲まれた環境に建つ山草家は、コテージ風の家だった。この家の主人山草満男は天地龍之介の後見人中畑保の弟で、最近永子という女性と再婚したばかりだった。岐阜に来たついでに龍之介とその従兄の天地光章は山草家に招待されたが、そこにはなぜか脚を怪我した永子の前夫松葉繁和もいた。
そんなとき、隣家の巻石譲から連絡があった、巻石家は今では町に住んでいたが、もともと住んでいたここも手放さず、骨董やがらくたなどを置いていた。その管理を山草満男に頼んでおり、鍵も満男が持っていた。その巻石が家に中を見たいので鍵を開けてくれと言ってきたのだ。
巻石の車がトラブルでエンコしたりして時間はかかったが、巻石家の前に全員が揃って鍵を開けることになった。ところが鍵が壊されているのは判明、さらにドアを開けると部屋の正面に黄色いペンキが一面に塗られていた。
そのペンキはまだ生乾きで、壁だけではなく置いてある物や壁に掛けられたものを無視して塗られており、おかげで壷や掛け軸、時計や壁に掛けられている猟銃までもが真黄色になっていた。いったい誰が何のためにこんなことをしたのだろうか…

光章、白銀に埋まる
スキー場に隣接するホテルに泊まっていた龍之介と光章たちだが、ここでも殺人事件に巻き込まれてしまった。龍之介一行の5人組と仲良くなった大学生3人組のうちの一人瀧内時史が、朝ホテルの玄関先の雪の上で背後から刺されて死んでいたのだ。
死体から出血はほとんどなく、うつ伏せに倒れた下の下にはカバーがかかったままの2組のスキー板。凶器のナイフは被害者自身のもので、ホテルの玄関に飾ってあるジオラマの中にあった。
そのジオラマは温泉施設のもので、露天風呂の中にそこに切っ先を向けて斜めに突き刺さっていた。露天風呂のジオラマは氷っており、突っ込まれた状態で氷りついたような感じだった。ホテルの玄関と死体の周囲の間には複数の足跡があり、それは3人組の一人春山浩のスキーブーツのもので、瀧内も春山のブーツを履いて死んでいた。

一美、黒い火の玉を目撃す
龍之介と光章が訪ねたのは福地龍三という耳の遠い経済学者。龍之介のもとに入った遺産の使い道として、子供たちのための学習プレイランド計画について相談に行ったのだった。
そこで起きたのが資料の盗難事件。詐欺が疑われる大型倒産事件の被害者団のための裁判資料だった。福地の事務室が無人になった数分間のうちに、誰かに盗まれたのだ。事件が発覚した直後、建物の外では黒い火の玉が目撃され、庭には不気味な形をした霜柱が岩の上に立っていた。

殺意は青列車が乗せて
総武本線関篤駅は、銚子駅と松岸駅の間にある単線上の駅であった。そこから今回のミステリートレインは発車した。電気機関車にけん引された5両のブルートレインには客たちが続々と乗り込む。
1両目はVIP用で、そこには天地龍之介の後見人中畑保やその知合の亀村豪一らも乗り込んだ。一方、龍之介と光章は車でミステリートレインを追いかけるが、すぐに重大事態が起きた。
龍之介たちと一緒にいたはずの長代一美が誘拐され、ミステリトレイン関係者の何人かとともにマイクロバスに監禁された。監禁したのは、今回のミステリートレインの企画にあたった旅行会社の人間で、彼らはミステリートレインに爆弾を仕掛けていたのだ。
この事実は一美の機転もあって、少しして龍之介たちの知るところとなった。しかしミステリートレインの車内とは連絡が取れないばかりが、ミステリートレイン自体がどこを走っているかわからなかった。沿線からの目撃情報がまったくないのだった。

龍之介、悪意の赤い手紙に息を呑む
光章の勤める会社に赤い脅迫状が来た。社員のひとりの不正を暴くもので、内容は暗号化されていたが、光章の紹介でアルバイトを始めた龍之介がいとも簡単に解いてしまった。
しかし会社の中は噂でもちきり。やがて第2に手紙が届き、さらに誘拐事件にエスカレートし、会社には身代金を要求する赤い脅迫状が届いた。


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