幽霊船が消えるまで

天地龍之介と従兄弟の光章が、龍之介の後見人中畑保を追ってあちこちを旅する途中で巻き込まれる数々の事件を描く連作。
幽霊船が消えるまで
天地龍之介と従兄弟の光章はフィリピンで置き引きに会い、仕方なく日本まで貨物船ハヌマーン号に乗せてもらうことになった。その前日、龍之介たちは小日向母子と知り合い、その伝手でハヌマーンに乗ることになったのだ。
貨物船には小日向母子も同乗した。小日向母子と龍之介たちの前日の縁は、行方不明になった母子の猫を龍之介が探し当てたことだった猫は港に停泊している貨物船シアウォーター号の中で見つかった。それが小日向母子を喜ばせ、困っている龍之介にハヌマーンを紹介したのだ。
ところが出港したハヌマーンの船内で事件が立て続けに起きた。霧の夜、光章が幽霊船を見た挙句に何者かに殴られ気絶し、さらに小日向の母親の持つネックレスが密室状態の船室から盗まれたのだった。

死が鍵盤を鳴らすまで
高校時代からの4人の音楽仲間が作る私的な合奏グループNAKKカルテットのメンバーの一人阿藤が、プライベートで借りている小さなテナントビルの非常階段の下で死体となって見つかった。後頭部を一撃され、非常階段を転げ落ちたらしい。
阿藤はプライベートルームで部品を取り寄せ、自作のピアノを作っていて、そのピアノの鍵盤からカルテットのメンバーたちの友人で音楽プロデューサーの三上の指紋が検出され、警察はそれを証拠に御神を殺人容疑で逮捕した。

石の棺が閉じるまで
岐阜県を訪れた龍之介と光章は、そこで事件に遭遇した。子供が湖の斜面に建つ女神像の足にしがみついているというのだ。その女神像は、これから龍之介たちが訪ねようとする中畑家の庭の池の中に建っていたもので、土砂崩れで根元から折れ流されたのだった。
その女神像は中畑家が面する川に出て流され、それにどこかで子供がしがみつき、像は湖に流れ込んで、その斜面にひっかかったらしい。子供は無事に救助されたが、もうひとり大人が像が持っていたペンを持ったフクロウの彫刻をつかんで溺死していた。
さらに20年以上前に中畑家の二男風水が、石でできた棺の上で重傷を負って発見されるという事件が起きていた。これらの不可解な出来事は、どこかで繋がっているのだろうか。

雨が殺意を流すまで
中畑保が滞在しているという徳之島にやってきた龍之介一行は、中畑が滞在する佐々塚家の親戚筋の家が営む旅館に一時的に滞在した。佐々塚家は島を牛耳る一族で、龍之介たちが滞在したのはその本家であった。
しかし龍之介たちのいるところ事件ありで、さっそくに事件が起きた。風呂で当主の一朗太の死体が見つかったのだ。風呂には内側から差込錠が掛り、一朗太は裸で浴槽の中で死んでいた。一見心臓発作の様ではあったが…

彼が詐欺を終えるまで
やっと中畑保と会えた龍之介と光章は、中畑が滞在する佐々塚盛嗣の家へ向かったが、途中で出会った人物が崎山強だった。崎山は借金を光章の肩代わりさせた挙句に夜逃げした男だった。なんとその崎山が盛嗣の娘夏美の婚約者だという。
話を聞くと崎山は所有する絵を400万で盛嗣に売ろうとしているらしい。光章は詐欺の匂いを感じた。それに合わせるように絵の鑑定書が収めてある部屋で小火があった。幸い火は消し止めら大きな被害はなかったが、鑑定書は灰になってしまった。
小火のあったの普段火の気のないところなので放火の疑いが強い。一番疑いが強いのは崎山なのだが、崎山は火が出た当時、近くの海岸で夏美と一緒にいたというアリバイがあった。

木の葉が証拠を語るまで
佐々塚夏美の兄秋伸が帰ってきて、写生に行った。龍之介たちは秋伸に会うために、その場所に向かったが秋伸の姿はない。しばらくして現れた秋伸は森の中で死体を見つけたという。
その死体は庇ブナと呼ばれる、大きなブナの木の虚にあった。驚いて警察に知らせようとしたが、そこに現れた2人の男。暴力団員のその2人は拳銃で脅し、死体の男を殺したのは秋伸だと言い放った。


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