アリア系銀河鉄道

三日月宇佐見のお茶の会…宇佐見護博士を主人公にしたファンタスティックな連作短編集で、「アリスのドア」は講談社ノベルズ版のボーナストラック。
言語と密室のコンポジション
木漏れ日のちらつくいつもの席に座り、紅茶を楽しむ宇佐見博士の目の前に現れた真っ白な猫。その人語を解す字義原理・実在の猫に導かれて、字義が文字通りそのまま存在している世界であるベデルの塔に来た宇佐見博士は、そこで起きた殺人の謎を解く。
殺されたのは書記監督官のテレサであった。濁音や半濁音が存在できない清音の間の奥にある言霊実在の部屋で、この世界にはいないはずの見知らぬ男の死体とともにテレサは死んでいたのだ。凶器は見つからず、言霊実在の部屋は中から施錠された密室だった。

ノアの隣
大佐から宇佐見博士にプレゼントされたのは、大瓶に入った水だった。その水瓶が倒れてしまい、中からは大量の水が洪水のように博士を襲い、博士は意識を失った。
その博士が気づいたとき、そこにはノアと名乗る全身白ずくめの服を着、白く長い髭を持った老人がいた。そしてノアの巨大な木造の船、博士はノアの箱舟伝説の世界に紛れ込んだのだった。ノアに促されて歩いて行くと、白い石造の館があった。そして館の中には真の箱舟の三分の一ほどの大きさの箱舟が据えられていた。
そうこうするうちに再び洪水が迫って来た。博士はノアたち一行とともに箱舟に乗り、2ヶ月ほど海の上を彷徨った。そして館に戻ったが、動く余裕のない部屋にあった箱舟が前後逆方向を向き、さらに太陽が西から昇りはじめた。

探偵の匣
吉武博士の妻が自宅で撲殺され、博士自身も後頭部を強打されたうえ毒を盛られるという事件が起きた。博士は四塩化炭素によって劇症肝となり、あと1~2日の命だという。
宇佐見博士はキリス・ミリガン博士とともに吉武博士のもとに向かった。吉武博士は妻を殺し自分をこんな目に合わせた人物をぜひ突き止めてほしいと宇佐見博士に言うのだが…

アリア系銀河鉄道
宇佐見博士と14歳の少女鶴見マリアは、銀河系をめぐる鉄道での旅に出た。マリアの父は、宇佐見博士の旧友であった宇佐見未紀也博士で、博士は自宅で毒殺されていた。毒物は×酸××ウムで、この毒物は皮膚から吸収されるものだったが、その形跡がなく、どこから毒が体に入ったかまったくわからなかった。
さらに鶴見博士の死と時を同じくして、ローウェル刑務所から囚人であったグリーンフィールドというハッカーが脱獄していた。2つの事件は関連があるのだろうか…

アリスのドア
周囲の壁はすべて石という部屋で目を覚ました宇佐見博士。その目の前には後ろ足で立つ白いウサギがいて、目覚めた博士に向かって、この部屋から出なければどこにも行けないと告げた。
壁の一面にはひし形に配された高さ30センチのドアが4つ、そして目の前のテーブルには鍵が12個と、茶色と水色の蓋付きの壜。壜の中には液体が入り、鍵は大きさが違うが、どう見てもドアに合う鍵は4つだけ。それらを使って部屋を脱出せよとウサギはいうが…


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