マスグレイヴ館の島

英国シャーロック・ホ−ムズ・ソサエアティにレジーナ松坂から一通の招待状が届けられた。レジーナは世界的大企業であるゴールドバーグ松坂テクノロジー社長松坂一希の妻であ、った。
招待状は松坂家が所有する島で、ホームズの短編「マスグレイヴ家の儀式」にちなんだイベントを開催するというのだ。
「マスグレイヴ家の儀式」の中の暗号文は矛盾があることで知られているが、今回は有名なシャーロッキアンたちを招いてその矛盾を新たな解釈によって克服して、真の宝を見つけ出すというのがイベントの内容だった。
宝となるのは賞金で10万ユーロ、島にはマスグレイヴ家を模した館が建てられ、暗号解読の重要な要素である楡や樫の木も植わっているという。
英国シャーロック・ホ−ムズ・ソサエアティからは、一乗寺慶子と筧フミの2人がイベントに参加することになった。慶子には突発的な睡眠に陥る病気があり、常に看護婦が付き添わねばならず、フミは看護婦兼ガードの役割だった。
ほかの参加者とともに慶子たちは、タイドストン村の沖合い1kmほどのところに浮かぶマスグレイヴ館の島に渡った。島には聞いていた通りの館のほかに、空堀や見晴台などの中世期の遺物らしきものも残っていた。
そして楡や樫の木が島のいたるところに植わっていた。イベント開催までにはまだ日数があり、一同はイベント企画会社の人間など一部を残して、島の対岸の本土にあるマカリスター家に引き上げた。

マカリスター家はタイドストン村の地主で、岬の近くに立っていて、そこからはマスグレイヴ館の島が望めた。マカリスター家は今回のイベントのために部屋をいくつか提供して、宿泊を提供してくれた。
島から引き上げて暫くして大風が吹き、その夜は嵐となった。翌朝、レジーナが館の2階の自室から石畳に転落して死亡しているのが発見され、さらに松坂家の主治医でイベントの参加者でもあったロー医師の姿が見えなくなっていた。
付近を捜索すると岬の突端に向かう道にロー医師のものと思われる足跡が見つかり、岬にはロー医師の遺書があった。それにはロー医師はレジーナ殺害を自白したうえで自殺すると書かれていた。
付近の海は荒れていて死体の発見は絶望的と思われたが、後日死体が揚り、それによればロー医師は他殺された疑いが濃厚であった。だが、岬への足跡はロー医師の者しかなく、不可能犯罪の様相を呈した。
一方、本土で事件が起きている間にマスグレイヴ館の島でも大事件が起きていた。本土での事情聴取などで慶子たちは忙殺され、3日後に皆で島に向かった。
すると島に残った男たちが皆死んでいた。一人は岩場で墜落死し、もう一人は鉄格子上のドアが付いた密室状態の狭い部屋の中でやはり墜落死し、最後の一人は食べ物に囲まれた地下厨房で餓死していた。
いったい島に何があったのだろうか…
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