4000年のアリバイ回廊

四国、室戸岬沖合いの深海千メートルの海底で、2キロの錘をつけた男の他殺死体が、深海調査艇によって発見された。死体は宮崎県埋蔵文化財調査センター発掘主任岩下三造のものであった。
宮崎県では、先ごろ日本のポンペイとまで呼ばれる貴重な縄文時代の集落跡が見つかって、世界の注目を浴びていた。この遺跡は4000年前、突然の火山の噴火によって人体や環状列石、住居跡などがほぼそのまま火山灰に埋もれ、そのことからポンペイに擬せられたのであった。
遺跡があった場所は、産業廃棄物の複合処理施設建設予定地として建設工事が始まり、その工事中に見つかり発掘が開始された。
発掘が進むに連れて遺跡の重要さや貴重さが増し、岩下たち宮崎県埋蔵文化財調査センターや学者などと産業廃棄物処理施設建設推進派の人間との間に摩擦がおき始めていた。そんなときの岩下の死であった。

岩下の足取りは、宮崎から神戸の姉の家に行き、そこから紀伊半島方面に行ったことまではわかっている。その途中のどこかで行方がわからなくなっていた。紀伊勝浦には岩下が共同所有しているクルーザーも繋留してあるが、その動きも気になるところ。
犯人の目星としては、産業廃棄物処理施設建設推進派の県庁環境部開発課の施設係長根岸善行やその部下の池杉良次が筆頭だった。
しかも2人は岩下の行方がつかめなくなった時には、東京から四国へ向うフェリーに乗船していた。だが、2人は岩下の死体を四国沖に沈めに行くほどの時間はないことが判明し、アリバイが成立した。
ほかの遺跡発掘関係者達も、岩下の死体を沈めることは時間的に無理とわかった。一方、遺跡の方でも発掘された骨のDNA鑑定を進めたところ、説明のつかない発見があった…
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