学園街の幽霊殺人事件

台風が直撃した夜、車一台がやっと通れるようなS町郊外の山道で、ほぼ同時刻に3件の交通事故が発生した。3台の車はほぼ1kmの間隔で山道を下っていたが、3台とも何らかの障害物に激突して大破し、乗っていた3人が死亡、1人が意識不明の重態となった。
不思議なのは事故の原因がまったくわからないことだった。落石も倒木も対向車もなかった。山道だから信号機や標識などもない。3台の車はフロントガラスは粉々に砕け、ボンネットは大きくへこんでいたが、何にぶつかったのかさっぱりわからないのだった。
村の長老の話では、この町に古くからある山の祠に祀られている首が7つもある鬼の祟りだという。事故のあった時間には大きな爆発音があり、町の上空を人魂が飛んだという目撃談があった。
しかも鬼を祀ってある祠の鳥居が、落雷にあって見事に破壊されていた。鳥居が壊れ、祀られていた鬼が飛び出して、付近を走る車を次々と襲った。そんな荒唐無稽な話でも信じたくなるような不思議な出来事だった。

この事故で死んだのは中島、相馬、小宮山という3人の男性で、重態になっているのは小宮山の妻だった。小宮山の妻は何故か後部座席に乗っており、それが生死の境を分けたのだった。
中島も相馬も小宮山も美聖学園のPTAの役員だった。この日、美聖学園PTA会長の猿渡が緊急の役員会を開催し、その帰路に事故にあったのだった。
何も台風の日に役員会など開かなくても、という批判が出た。まったくその通りで、なぜこんな日に役員会、それも緊急の集会など開いたのか。その話になると関係者の口は重く、何かを隠しているようだった。
その何かとは13年前に学園でおきた一人の生徒の死に関係があるようだ。13年前に一人の生徒がプールで溺れ死んだ。その死体は醜聞を恐れる国語教師によって、密かに学園に中に埋めら、生徒は行方不明とされた。
ところが一週間後に、その死んだはずの生徒が登校し、その姿を見た国語教師は驚きの余り窓から転落、重傷を負って精神に異常をきたした。
教師はその後退職して消息不明、生徒も親が退学させてやはり消息不明となったが、学園内には尾鰭がついた怪談仕立ての伝説として事件は伝わっていた。
今回の不思議な事故の関係者は、どうも13年前に事件と何か関連がありそうだった。学園理事長であり、高等部の2年生でもある今御堂蘭は、同級生の一尺屋遥とともに事件の真相究明に乗り出したが…
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