さかさ髑髏は三度唄う

かつては焼物で栄えた飛龍田の村には、300年前にこの地に連れてこられた朝鮮の陶工と村の娘の悲恋の物語があった。陶工と村娘が恋におち駈け落ちしようとしたが、村はずれで見つかり陶工は斬り殺され、娘は滝に身を投げたのだ。
娘の死体は見せしめの為に、首から上だけ地上に出され、胴体は地中に埋められて晒された。やがて骨になった娘の死体からは、女の唄う声が聞こえた。通りかかった老人が見てみると、娘の髑髏が逆さまになってすげられていた。
老人は娘の髑髏を埋葬しなおしたが、それ以後村は洪水に襲われたり、旱害にあったらいと毎年のように天災に襲われた。
この村の小学校の同級生一尺屋遥と八追純平は、恩師の悠理枝先生を訪ねることになった。悠理枝先生は2人が小学校時代は野中悠理枝といったが、その後結婚して人首悠理枝となっていた。
悠理枝が嫁いだ人首家は村一番の名家で、現在では唯一の飛龍田の窯元であった。悠理枝は人首のあと取り息子慎太郎と結婚したのだった。
ところが2人が卒業して20年ほどたった今年、悠理枝先生が癌で余命幾ばくも無く、寝たきりになっていると知った一尺屋遥が見舞いを兼ねて悠理枝先生に会いに行こうと手紙を八追純平に出したのだった。

八追純平は村に着くと懐かしさのあまり廃校になった学校を訪ねる、すると誰も居ないはずの理科実験室から唄声が聞かれ、それに引き寄せられるように実験室を除くと、教卓に置かれた髑髏の中に蝋燭が燈り、その髑髏が唄を歌っていた。
腰を抜かして逃げ帰った八追であったが、それは単なる事件の幕開きに過ぎなかった。やがて一尺屋遥も到着して、2人は悠理枝先生の家に泊まる。
人首家の人間関係は複雑で、皆お互い同士憎みあっているようであった。そして何より慎太郎の父で77歳になる人首蔵之助の遺産相続と、蔵之助がホソボソと守る飛龍田焼の技術の後継が人間関係に悪影響を与えていた。
そんな雰囲気の中ついに最初の殺人が起きた。たまたま来ていた慎太郎夫妻の長女恵利の夫橋本が、衆人環視の中で食事中に額に針のようなものを刺され、毒死したのだ。
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