QED 龍馬暗殺

日本薬剤師会主催の学術大会に出席するために高知にやって来た棚旗奈々には、ひとりの同行者があった。幕末フリークで、坂本龍馬の大ファンである妹の沙織で、奈々が学術大会のために高知に行くと知るや、半ば強引に付いて来たのだ。
奈々が大会に出ている間に、沙織はじっくりと史跡巡りを楽しむつもりであった。初日を終えて翌2日目のこと、この日は午前中に奈々の後輩の全家美鳥と行動を共にすることになっていた。
美鳥は高知県の山奥にある蝶ヶ谷村の出身で、今は高知に戻って市内で一人住まいをしていた。蝶ヶ谷村の実家には母親の成代と妹の卯月が2人で住んでいた。
奈々は久しぶりに美鳥と会う約束をし、大会2日目の午前中に美鳥の車で蝶ヶ谷村の美鳥の実家を訪ねることにした。朝から嵐の接近で大荒れの天気の中、奈々と沙織は美鳥の車に乗り込んだ。
蝶ヶ谷村は村とは名ばかりで全戸数は4戸しかなく、近々隣の村と合併することになっていて、村が今年消えてしまうために名残の祭りが行われるというのだ。

さて、奈々と沙織が美鳥の実家に着くと、そこには博識の薬剤師桑原崇が来ていた。崇も大会に出席するはずで、奈々や美鳥とも待ち合わせていたのだが、とうとう昨日は姿を見せず音信不通になっていた。
その崇との出会いを驚く奈々だったが、たちまちジンクス通りに事件に巻き込まれてしまう。まず嵐による土砂崩れがあって、村から通じる一本道がふさがれ村が孤立してしまった。
何とか通じる電話で救助を要請したが、折からの嵐のために翌日になるという。仕方なく奈々と沙織、それに崇は美鳥の実家に泊まることになった。そしてその夜、殺人事件が起きた。
村の神社の境内で、大雨に打たれた朽木刻夫の刺殺体が見つかったのだ。刻夫の死体の背中にはナイフが深々と突き立っていた。
蝶ヶ谷村には全家、朽木、遠敷、鄙神の4家があったが、朽木刻夫は朽木家の跡取りであり村で唯一の若い男でもあった。さらに遠敷竜郎が大怪我をして家に戻り、意識を失った。
遠敷竜郎は村を出て東京に住んでいたが、村の祭りのために呼び戻されたのだった。竜郎は刻夫とは不和であったが、この日村にいる若い男のひとりであった。
刻夫、竜郎、崇と村にいる3人の若い男のうち2人が倒れた。いったい村に何が起きたのだろうか…
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