QED 竹取伝説

奥多摩にある織部村の山中で発見された死体は、背中から腹に竹槍を突き刺されていた。この地には「鷹群山の笹姫様は…滑って転んで裏庭の、竹の林で右目を突いて、橋のたもとに捨てられた」という童歌があり、その死体はまるで童歌を見立てたようであった。
死体の主は椙山伸彦、織部村の隣村斐田村に住み、織部村にあるペンション「バンブー」に勤めていた。伸彦はペンション経営者の三輪田夫妻の一人娘千里との結婚が決まり、人生最高のときの悲劇だった。
織部村の鷹群山には笹姫様伝説があり、鷹群山を巡る魔のカーブでは、過去何回もの交通事故が起き、何人もの人間が死んでいた。
不思議なことに事故はほとんど婚約中か新婚の人間ばかりが起していた。助かった少数の人間に聞くと、いずれも事故の直前にカーブの先の竹が光ったというのだ。
そして光る竹を見た直後にハンドル操作を誤って、崖に衝突したり、崖から落ちたり、対向車と正面衝突したりしていた。この竹が光るというのは笹姫様の祟りとして地元では知られていた。
笹姫様伝説ではいじめられて嫁に行くどころか、村から追い出された笹姫様は、幸せな男女を見ると嫉妬して竹を光らせ事故を起こさせるというのだった。
この竹取物語のかぐや姫を思わせるような不思議な伝説と、竹槍を突き立てられた死体の謎に博識の薬剤師桑原崇が挑む。
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