ハサミ男

ハサミ男とは連続美少女殺人犯に対して、マスコミから名付けられ、社会の憎悪と恐怖の対象となったシリアル・キラーであった。埼玉県と江戸川区で2人の美少女をロープで絞殺し、その死体の喉にはハサミが突き立てられていた。
ハサミ男は殺人の学習もするのか、最初の殺人ではハサミの先端が研ぎ澄まされていなかったために、喉への突き跡も複数あったが、2度目の殺人ではハサミの先端を鑢で鋭利に削ってあった。
ハサミ男が使ったハサミはごくありふれた安いもので、文房具店に行けば簡単に手に入った。また用心深くて目撃証言はゼロ、被害者への暴行の後も全くなかった。
ハサミ男は教育関係の出版社でアルバイトをするフリーターで、その出版社が行っている通信添削の受講者の中からターゲットを選び、ストーカー行為を繰り返して被害者周辺の様子を掴み犯行に及んでいた。
その一方で週末になると睡眠薬や毒物を使った自殺を繰り返しては失敗し、その度に医師のカウンセリングを受けていた。
第二の犯行から半年後、ハサミ男が第三の犠牲者に選んだのは目黒区のマンションに住む樽宮由紀子という女子高生だった。

ハサミ男は由紀子の住所を控えると、会社の時間をやり繰りしたりして由紀子へのストーカー行為を始め、由紀子の生活パターンを掴んだ。
そしてある夜由紀子を襲うべく、研ぎ澄ましたハサミをバックに忍ばせてマンションの近くで待ち伏せを始めた。だが、由紀子はいつまで待っても現れない。
あきらめたハサミ男は襲撃を別の機会に譲ることにして、待ち伏せ場所から立ち去り、駅へ向かった。途中の小公園に差し掛かると、公園の芝生に違和感を感じた。
するとそこには由紀子の死体が横たわっていた。首にはロープが巻かれ喉にはハサミが突き立っていた。ハサミ男は驚愕した。身に覚えのないハサミ男による殺人。完全な模倣犯であった。
現場から一刻も早く逃げ出さなければならないが体が動かず、そのうちに人が来てしまう。ハサミ男は咄嗟の判断で第一発見者を装ったが…
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