琥珀の城の殺人

1991年第2回鮎川哲也賞応募作品で、受賞は逸したものの最終選考に残り、翌92年に刊行された篠田真由美一のデビュー長篇。

時は1775年、オーストリア帝国の支配下にあったハンガリーの西カルパチア山中、琥珀城とも呼ばれるベルンシュタインブルクの城館。
城館の当主である伯爵ヴォルフガング・ゴットフリート・フォン・ブリーセンリックが書庫の中で短剣を背中に刺されて死んでいた。書庫の扉は鍵がかけられ、2つある鍵のうち一つは伯爵の手に握られ、もう一つは伯爵の侍医ヴェンデンベルクが所持していた。
朝、侍従が伯爵を起こしにいったが部屋には伯爵がおらず、探し回って書庫の扉の覗き窓から覗いて発見したのだった。
侍医の合鍵で扉を開いたがすでに伯爵の体は冷たくなっていた。伯爵家では城館に滞在していたフランチェスコ・プレラッツィを唯一の部外者であるというだけで犯人と決め付け、犯人にされたくなければ真犯人を見つけ出せと要求した。
プレラッツィは真犯人探索を受けて立ち、館の人間たちを訊問し、書庫を調べ始める。そして7年前に伯爵の妻であったユリアーナが城館の塔から投身自殺し、その事件があってから呪われた城館と呼ばれるようになったことを知る。
プレラッツィはユリアーナの死に疑問を抱き調査を始めたが、その矢先に礼拝堂に安置された伯爵の遺体が消失してしまう。館の人間は伯爵が甦ったのだと恐怖に慄く。
さらに伯爵の長子で非嫡出のために爵位を継げなかったイザークが園亭の泉の中に頭を突っ込んで死亡し、侍従が石弓で襲われて大怪我をする。
また、死亡の事実をウィーンに告げに行った侍医が、ブラチスラバの宿屋で自殺したとの報せが届く。琥珀城は本当に呪われた城になってしまったのだった。

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