悪夢街の殺人

名探偵であり精神科医の弥生原公彦の患者小川美智子もとに、差出人不明の奇妙なビデオが送られてきた。診察の際に心配になった小川美智子から弥生原公彦にビデオが託された。
弥生原はワトソン役の探偵作家築島龍一とともにそのビデオを見るが、その内容は呪いのビデオ。夜の海岸で老人が意味不明の言葉をつぶやき、やがて1994年7月28日午前10時、淡路島佐野海岸、髪の毛の伸びる人形と次々と文字が浮き出て終わった。
弥生原と築島はビデオで予告された日付の日に淡路島の佐野海岸に車で向った。そこで見たものは美人姉妹の竹田佳子と聡子が波間に浮んだ日本人形を取ろうとしている姿。
弥生原たちも協力してその人形を海岸に引き寄せた。防空頭巾をかぶったその人形の下からは、人形に紐で括りつけられた少女の死体が見つかった。
死体は淡路島に住む小学校5年生のものだった。事情聴取が終り、解放された弥生原は竹田姉妹から話を聞いた。竹田姉妹がこの海岸にやって来たのは心霊倶楽部から販売されている呪いのビデオの内容を検証に来たものだった。
弥生原は竹田姉妹に頼んで、その呪いのビデオを見ることにした。心霊倶楽部とはワンちゃん、シズという2人の若い男と、タマちゃん、さよ子という2人の若い女がメンバーらしく、この4人があちこちの心霊スポットを巡り恐怖を体験するという内容だった。
暮園にはじまり、次に紹介されたのがどこかの住宅街の小さなトンネル、さらに海岸と髪の毛の伸びる人形へと続いていた。そして最後は樫の巨木に荒縄で首を括ったさよ子の死体が風にゆれ、「さよ子、なぜ死んだ? これも…ヌガミの祟りなのか?」というワンちゃんの呻き声で唐突に終わった。
このビデオをもとに弥生原は恩師の中林剛教授や兵庫県警の大道寺警部らとともにディスカッションをし、犯人像の特定に腐心し、音響分析の技術で「ヌガミの祟り」が犬神の祟りであることを突き止めた。
その矢先、1994年8月28日西宮市の住宅街にある小さなトンネルで、少女の絞殺死体が発見された。被害者は市内に住む門脇美奈子で、またもや小学校5年生であった。
淡路島の海岸の事件、西宮のトンネルの事件とビデオに描かれた場所で続くこの事件は、やがて阪神サイコキラー殺人事件と呼ばれ、人々を未曾有の恐怖に陥れる事件に発展して行った。

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