鬼首村の殺人

名探偵弥生原公彦のもとに美人姉妹竹田佳子と聡子が依頼に訪れた。岡山県の御国村の実家に帰った佳子の友人古神加奈を探してほしいというのだ。
加奈と佳子は8月12日の昼過ぎに、山陽線上郡駅で待ち合わせて、加奈の実家に向う予定が待ち合わせをすっぽかされたのが、そもそもの始まりだった。
そのときはそれで終わったものの、夏休みが終わっても加奈は戻ってこず、思い余った佳子が加奈の実家を訪ねると、加奈の一家が行方不明になっていたのだった。
加奈の父親の泰、母親の美保、祖父の仁志ともども神隠しにあったようだった。家は雨戸が閉じられ、玄関には鍵が掛かり、食事の用意までしてあったというから、まさに神隠しとしか言いようがない状態だった。
ただひとつ異様だったのが、居間壁にかかっていた額が床に落ちていたことだった。その額に入っていたのは、童謡の「通りゃんせ」であったという。

しかも御国村には神隠し伝説があり、加奈の曽祖父の古神修も昭和30年に失踪していた。修は上郡での歌会に出たあと自宅に戻る途中、県境の山伏峠付近で忽然と消えたというのだ。
今回の失踪事件は一家全てが行方不明なので警察に捜索願いも出されず、仕方なく佳子が岡山の田村典子弁護士に行方の捜索を依頼したという。
田村弁護士は弥生原とも旧知であり、それらもあって今回竹田姉妹は弥生原のもとを訪れたのだった。それにもうひとつ、田村弁護士は戦後の未解決事件のひとつである下山事件に古神修が関係があると突き止めたようだ。
下山事件とは昭和24年に当時の国鉄総裁下山定則が常磐線綾瀬駅付近で轢断死体となって発見された事件で、自殺説、他殺説、謀略説など多くの推測がなされ、事件自体の捜査が打ち切られた後も多くの研究がなされた未解決事件である。
田村弁護士によれば下山事件は他殺であり、古神修は下山総裁の替え玉を勤めたらしい。古神修が下山の替え玉として現場付近で何人かに目撃され、事件を自殺だとする根拠にしたのだというのだ。

弥生原はワトソン役の探偵作家築島龍一とともに岡山に向い、旧知の県警の五十嵐警部とともに御国村に乗り込んだ。
ところが御国村に乗り込んだ途端に、童謡連続殺人が起きる。最初に殺されたのは御国村出身の3人組のグループ「花いちもんめ」のメンバーの一人であった。
「花いちもんめ」は3人の女の子による人気グループで、キャンディーズにあやかって3人はラン・スー・ミキの名前をつけた。
今回、出身の御国商業高校の学園祭に出演したが、ランこと大徳寺泰子がイベント後に行方不明になり、絞殺死体となって発見されたのだった。
死体の胸には安全ピンで「花いちもんめ」の歌詞が書かれた紙が留められていた。これが童謡連続殺人の始まりだった。
続いて「かごめかごめ」に例えられた毒殺事件、「てるてる坊主」に見立てられた密室殺人事件が起きる。童謡連続殺人犯は弥生原たちをあざ笑うかのように次々と殺人事件を演じたのだった。

島田荘司と新本格作家のメインページにもどる
Mystery Collection Mainへもどる


Last modified -