幻影城の殺人

岡山県笠岡市の沖合い、瀬戸内海に浮ぶ小さな島を買い取った角川春樹は、そこに日本初の映像テーマパーク「ハルキ・ワールド」を建設した。
ほぼ完成した「ハルキ・ワールド」は、野生の証明体験ツアーゾーン、ザ・戦国体験ツアーゾーン、横溝正史ワールド、遊園地のサンリオ・ピュア・ランド、ホテルなどがあるほか、島内には幻影城と名付けられた角川春樹邸もあった。
角川春樹が米国のテーマパークからヒントを得て、自ら無人島を一つ買収して建設したものであった。
完成を前に「ハルキ・ワールド」のデモを兼ねてテレビで紹介することになり、その企画の一環で、角川春樹が懇意にしているミステリー作家や評論家を招き、大掛かりなマーダーゲームを行うことにした。
ミステリ作家の端くれである築島龍一は友人に精神科医で名探偵としても有名な弥生原公彦とともに、「ハルキ・ワールド」に招かれた。
そしてマーダー・ゲームが始まった。だが、そのマーダーゲームはいつしかゲームではなくなり、本当の殺人が始まったのだった。

最初に殺されたのは出版社帝都社の出版部長常盤明。常磐部長は近年ブームになっている超感覚派ミステリの仕掛け人で、業界の旗手であった。
常磐部長は岡山に用事ができて「ハルキ・ワールド」から対岸の笠岡市に船で渡り、そこのホテルで首を切られて殺された。そして常磐が殺された部屋の鍵は室内から見つかり、合鍵も使用されていなかった。
さらに、そのホテルの部屋から胴体が持ち去られていたが、胴体は死亡推定時刻以後にはホテルからは持ち出せない状況であった。
そして犯人は島に滞在する人間と考えるのが自然であるが、島にいた人間にはほとんどアリバイがある上、島から抜け出す手段がなかった。
凶器は日本刀と思われたが、その日本刀「村正」は角川春樹の所有で、島の金庫に厳重に鍵をかけられて保管されていた。だが、金庫を開けてみると、その刃には常盤の血がついていた。
常磐は密室の金庫から持ち出された日本刀で、島を抜けられないはずの人間によって殺されて首を切られ、その部屋は密室にされたうえ、封鎖状態にあったホテルからその胴体を持ち去られたのだった。
いったい犯人はどんなトリックを使って殺人を行ったのだろうか?だが事件はそれに留まらず、次には「ハルキ・ワールド」内のフォール・アトラクションから人間が消失するという不可能事件が起こった。

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