消える上海レディ

化粧品業界一のS社が決めた来年のテーマは戦前で時間が停まったような街上海。キャンペーンガールにはつば広の帽子にチャイナドレスを着せ、戦前の上海をイメージさせた。
雑誌LAの編集部ではこのキャンペーンに合せて記者の島丘弓芙子とカメラマンの国田を上海取材に派遣することにした。取材コースは神戸に一泊して神戸市内を取材し、その後神戸港から上海行きのフェリー鑑真号に乗り、上海市内を取材するというものだった。
明日は神戸に向かうという日のこと、S社の来年のキャンペーンガールである上海レディのお披露目が赤坂のホテルで行われ、弓芙子の同僚の蓬田夜片子が取材に行った。
戻って来た夜片子によると上海レディは、弓芙子と姉妹ではないかと思えるほどよく似ているというのだ。夜片子に同行した国田カメラマンも同じ感想を持っていた。
さて、その翌日弓芙子と国田は東京駅から新幹線で神戸に向ったが、その車中でつば広の帽子にチャイナドレスという上海レディに出会った。
これ以後、つば広の帽子にチャイナドレスの上海レディは弓芙子の行く先々に現れた。そして歩いている弓芙子めがけて鉢植えを落としてきた。明らかに弓芙子の命を狙ったとしか思えない行為だった。
さらに鑑真号の中にも上海レディは現れた。上海レディは鍵を掛けた弓芙子の部屋のクローゼットに隠れ、ナイフをふるって弓芙子を傷つけた。
そのころ東京のLA編集部でも異変が起きていた。S社は上海ガールのお披露目など開いていないし、来年のテーマも上海などではないというのだ。赤坂のホテルで開かれたS社のセレモニーはまったくのでっち上げであったのだ。

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