天国からの銃弾

サスペンス色の強い作品や社会派色の作品など中篇3篇を収録。
ドアX
容姿に恵まれ、運動神経もよく、芸術の才能もあったマキ子は田舎から東京に出て踊りと歌を本格的にはじめ女優への道を目指した。
ダンスの教師は尾台といい、ダンスには厳しいが稽古が終われば一転やさしく、マキ子には特別の愛情を注いでくれ、やがて2人の仲は肉体関係に発展していった。
その尾台の友人で喫茶店を経営する森田は、マキ子に惚れていて、マキ子の我儘は何でも聞いてくれるが、マキ子から見れば偏執狂的なところがあり、狂っていると思うことすらあった。
そんなおり、マキ子が書いた脚本がアメリカの映画会社に採用されたとの通知が届く。有頂天になったマキ子に、さらに町の易者が幸福のドアXを探し出せばもっと幸せになれると告げた…

首都高速の亡霊
台風の夜、霧原桃代は西荻窪の雑居ビルの5階の自室のベランダから植木鉢を一つ落としてしまう。ベランダの真下は細い路地になっていて、桃代が恐る恐る下を覗くと、割れた植木鉢とその側に倒れた男が見えた。
驚いて階段を下りた桃代が男に近づくと、頭に植木鉢が当たったらしく、すでに息をしていなかった。桃代は植木鉢を側の溝に落し、男の死体を引きずってビルの中に入り、取りあえず2階に引き上げた。
本当は5階の自室まで引き上げたいが桃代の体力では無理で、仕方なく建設会社の資材置き場に使われている2階の一室に死体を入れ、近くに住む恋人を呼んだ。
恋人がやってくると2人は死体の始末を相談するが名案が浮かばない。気分転換に資材置場の窓を開けてみると、そこはバス通りに面しており時ならぬ渋滞であった。
2階の窓のすぐ鼻先に、渋滞中のバスの屋根があるのを見つけ、桃代たちは梯子を使って男の死体をバスの屋根に乗せてしまう。

一方、この日の夕方、首都高速エンジニアリングの社長寺田は、かつての部下であった坪井平太から呼び出され、西荻窪の三流スナックで飲んでいた。そして坪井から不正をタネに恐喝を受ける。
寺田は坪井を始末する決心をし、坪井とは夜西荻窪駅前で待ち合わせの約束をし、用事があると偽って一旦自宅に戻り車で西荻窪に戻ってきた。
車を駅から少し離れた場所に停めて駅前から坪井を車に誘導するが、途中で坪井に殺意を気どられてしまう。路地に入り込んだ坪井に追いつき、その背後から坪井を殴り殺してしまう。
車に坪井の死体を積むために寺田は車に戻り、坪井の死体のある路地に向かうが、その途中のバス通りで標識に衝突してしまう。そのまま寺田は走り去ったが、その事故が原因で道路が一車線塞がれ渋滞が起こる。
寺田は苦労して坪井の死体のある路地に戻ってくるが、そこからは死体が消えていた…

天国からの銃弾
会社の重役を退職した私は、老朽化したために移転した川崎の消防署を購入した。消防署の望楼から富士山が見えるのが購入した理由で、望楼を残して建物を毀して住いを建てたが、望楼には中に畳を入れ空中庵とい称してそこで富士山の夕景を見て過ごすのが日課となった。
やがて望遠レンズつきのカメラを買って、毎日富士山と夕焼けを写真に撮って記録するようになった。暫くすると写真に川崎のソープランドの屋上に建てられた自由の女神像が割り込んできて、その数は六体にもなった。
ある日のこと同じ敷地内に住む息子の公一が来て、その写真を見ていると自由の女神の目が赤目現象で赤くなっている写真があることを発見。
人間でもないのに赤目が起きることに興味を覚えた公一だったが、翌日の夜ソープランドの屋上の自由の女神の台座に吊り下げられて死んでいるのが見つかった。
警察は自殺の可能性をほのめかしたが、自殺とは信じられない私は真相を掴むべく、赤目の自由の女神の謎を解くことに…


島田荘司と新本格作家のメインページにもどる
Mystery Collection Mainへもどる


Last modified -