御手洗潔のダンス

御手洗潔ものの中短篇4篇を収録。近況報告はノベルズ版書下ろし。
山高帽のイカロス
人間は本来空を飛べるが飛べること自体を忘れてしまっていると信じ、自分は訓練の結果夜だけは空を飛んでいると思い込んでいるアル中画家赤松稲平。
その稲平の住居兼アトリエは浅草にあるビルの4階。そこは元倉庫だっただけあって20畳位の広さの部屋で、荷物もほとんどないために空間と言ってもよいくらいであった。
そのビルは5階建てで、そこと細い道路を挟んだ向かいのビルも5階建て。2つビルの屋上の間には数本の電線が渡されていた。稲兵の死体はその電線に腕を広げて乗っかっていた。まるで当人がいつも言っているよう鳥のように空を飛んでいる格好で…

ある騎士の物語
東京都国分寺市恋ヶ窪のアパート。そこに住むバイク好きの4人の男と彼らのアイドルの女性秋元静香。4人の男と静香、それにもう一人藤堂次郎の6人は、学生時代からクイックサービスというバイク便の元祖のような会社を興して成功していた。
ところが藤堂次郎が金を全て持ち出して逃亡。静香はその少し前に弟を亡くしていたが、それも藤堂の所為と判明して藤堂を殺そうと決意し、藤堂の行方を追い始める。
雪の夜、4人の男がアパートにいると静香が帰ってきて、藤堂の居場所を突き止めたと拳銃を取り出した。藤堂はこのアパートから15キロほど離れた所沢郊外にいるという。
わずか武蔵野線で十数分の距離だ。ところが時間が遅く終電は全て終了、雪の為にバイクでは走れず、タクシーもいない。明日になれば藤堂は外国に行ってしまうらしく殺すのなら今夜しかない。
4人の男は静香を宥めるが、狂乱状態の静香は雪の中に飛び出してしまう。4人の男は静香を探し回り、30分後に静香を見つけ1時間後には全員がアパートに揃う。
だが、その間に藤堂次郎は15キロも離れた場所で、静香が持ってきた拳銃の弾丸を3発も受けて殺されていた。静香と4人の男の誰も、その短い時間では藤堂次郎を殺しにいけなかったことは明らかだった。静香は神に祈りが通じ藤堂次郎は殺されたのだというが…

舞踏病
浅草の古いおでん屋の二階に痴呆の老人を下宿させて欲しいと言って来た男があった。その男も浅草に住んでいて、自宅兼用のビルを改装するために一時的に老人を置いて欲しいというのだ。おでん屋の主人は渋るが、1ヶ月で100万円の礼金に老人を下宿させた。
その老人が夜になると狐付きのようになって部屋の中で踊り狂うのだ。おでん屋の主人は気味悪がって、御手洗のところに相談に来るが…

近況報告
横浜の御手洗の生活を報告する短篇で、ミステリではないが御手洗の日常や嗜好が綴られる。


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