御手洗潔の挨拶

「占星術殺人事件」で鮮烈なデビューを飾った御手洗潔もの4中篇。
数字錠
東京四谷の中小工場吹田電飾社長吹田久朗が会社でナイフで刺されて殺された。社長は徹夜で仕事をし、朝方仮眠しているところを何者かに刺し殺されたらしい。しかし現場の事務所は2ヶ所ある入口のどちらからも入れなかった。
正面の出入口にはシャッターが降りていて、外からは鍵を使わなければ開けられない。鍵は2つあって、1つは吹田社長のズボンのポケットから見つかり、もう1つは社長が殺された時間に会社に向っていた4人の従業員が持っていた。
そして裏口は木戸というに相応しかったがそこには3つの数字を組み合わせる数字錠が掛かっていた。その数字錠の組み合わせは吹田社長しか知らなかった。全ての組み合わせを試すというやり方もあるが、それではいつ従業員が出勤してくるかも知れず非現実的。では犯人は密室となった会社からどうやって出たのだろうか…

疾走する死者
台風の夜、隅田川べりの11階建てのマンションの最上階の部屋にいた男が、突然部屋を走り出て姿を消した。直前に男はベランダに出ていて、ベランダから部屋に入り、そのまま玄関から出て行った。
当時、台風の影響で停電していて部屋の中は暗かったが、部屋には多くの人がいてそれを見ていた。13分後にその男はマンションの近くを走る鉄道の高架線の上で電車にはねられて死んだ。
停電でマンションのエレベーターは動いていない。男はマンションの11階から階段を降り、駅まで行って高架のホームに上り、再びマンション付近まで線路を走って、そこで電車にひかれたのだ。それもわずか13分で…
マンションを1階まで降りるだけでも5分近く、さらにマンションから駅まで行くのに10分近くの距離がある。いくらなんでも、そんなことは不可能だ。しかも警察の検証で男の首には絞められた跡があった。まさに疾走する死者であった。

紫電改研究保存会
パブで若い男が語る不思議な出来事…
その若い男が勤める会社に7年前、不思議な男が現れ喫茶店に誘う。男は喫茶店で名刺を出し、それには「紫電改研究保存 尾崎善吉」とあった。尾崎は数年前に四国沖で引き上げられた、旧海軍の戦闘機紫電改にまつわる話をし、結局その若い男を連れ出して紫電改研究保存会のパンフレット発送の宛名書きを手伝わせる。が、その裏には…

ギリシャの犬
ギリシャに渡って海運業で財を成し、日本のオナシスといわれる青葉照孝氏とモナコで出会った御手洗潔。青葉氏は御手洗に「妹の淑子が相談に伺うのでよろしく」といいその場は別れた。
日本に戻ってほどなく訪ねて来た青葉淑子。目が不自由な淑子は、自身の住む家の隣のたこ焼き屋が盗まれたと訴えた。そのたこ焼き屋は2メートル四方に広さに、高さが4メートルほどの簡易な建物。誰かがそっくり盗んでいったらしい。そしてその際淑子の盲導犬クロを毒殺して行った。御手洗はクロの敵を取るために事件に手を染めた。
そして、今度は青葉照孝氏の子供康夫が誘拐された。康夫は日本にいて淑子が預かっていたのだった。身代金は1億円。犯人は船宿で船を借り、金を積んで船で隅田川に出ろと要求してきた。船の上でどうやって犯人は金を受け取るつもりなのだろうか…


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