ロシア幽霊軍艦事件

御手洗潔のところにアメリカの松崎レオナから来た手紙には、倉持ゆりという女性からレオナに宛てた手紙が同封されたいた。
それによれば、ゆりの祖父がレオナに頼みがあると言って死んでいった。頼みとはアナ・アンダーソン・マナハンという米国在住の老婦人に会って、自分は本当に悪いことをしたとレオナを通じて謝って欲しいというものだった。
さらにゆりの祖父は箱根の富士屋ホテルのマジックルームの写真をマナハンさんに見せて欲しい、そうすればマナハンさんはあんな理不尽な目にあわなくても済んだのにとも言っていたという。
ゆりはレオナにこのことを手紙で伝えたのだが、レオナは訳がわからずに御手洗好みの話だと思って、手紙を送ってきたのだった。

この手紙は御手洗を刺激し、御手洗はさっそく富士屋ホテルに飛んでいった。富士屋ホテルに飾られていた写真とは、大正時代に撮影されたもので、芦ノ湖に浮ぶ帝政ロシアの軍艦と、軍艦から降り立つ沢山の帝政ロシアの兵士が写っていた。
ホテル支配人が聞いている話では、霧の深い嵐の夜に軍艦が突然現れ、兵士がぞろぞろ降りてきた、中には女性も混じっていたという。
このことは軍艦が現れる直前に軍から連絡があり、厳重な緘口令が布かれた。軍艦は翌日には芦ノ湖から姿を消していたというものだった。
緘口令が布かれていたので、表立って騒ぎにはならなかったが、地元ではロシアの幽霊軍艦として、しばらくは語り継がれていたという。
御手洗は箱根の山中に突如現れた軍艦という不可解な謎に挑む。そんな時、アメリカのレオナから連絡があり、アナ・アンダーソン・マナハンという女性は、ロシアの最後の皇帝ニコライ2世の末娘アナスタシアであると信じ、そのことおで長年裁判を戦い、晩年は米国で結婚して先ごろ死亡した女性だということがわかったと言って来た。
この話を聞いた御手洗は、ロシア皇帝の皇女アナスタシアと芦ノ湖の幽霊軍艦は結びついているに違いないと思い至る。
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