猫は聖夜に推理する

猫探偵 正太郎の冒険その二、柴田よしきの猫探偵シリーズの第二短篇集で、飼い主の女流推理作家桜川ひとみとともに名推理を披露。
正太郎と井戸端会議の冒険
正太郎や友達のチェルシーたちの住むペットOKのマンションに、目つきのよくない不審な男が毎日のようにやって来た。チェルシーがベランダから何度も目撃していた。だが、男がどこの部屋に何を目的に行くのかはさっぱりわからない。チェルシーは猫殺しに違いないと騒ぐのだが…

猫と桃
出版関係への就職を希望するものの、内定を一向に得られないあたしは、不倫相手の柳沢に久しぶりに電話した。柳沢は人材バンクの社員で、マスコミ関係に多くのコネを持っていたからだった。
柳沢に就職あっせんを頼み、その代償のように体を提供したが、別に嫌悪感は感じなかった。その柳沢から電話があって、京都旅行に誘われた。たまたま大阪出張だった柳沢は、その帰途あたしを誘って大文字見物としゃれたのだ。あたしは誘いを受け、夏の暑い京都に向かったのだが…

正太郎と首無し人形の冒険
正太郎の住むマンションの一室に空巣が入ったらしいのだが、被害は中古のバービー人形の首だけ。首を切り取られて持ち去られた人形を見て、2歳の女の子が泣き喚いて事件が発覚した。それがなければ鍵のかけ忘れで済んでしまうところだった。
しかし警察は事件性を認めなかった。次に起きたのは絵本事件。マンションに住む幼稚園児がブランコに置き忘れた絵本が、翌朝見つかった時には、絵の首から上が全て切り取られていたのだ。
たまたま遊びに来た作家浅間寺竜之介とその飼い犬のサスケ。正太郎はサスケとともに事件の推理を始めるが、そんな時第三の事件が起きた。子供が来ていた革ジャンの背中に刺繍された野球をする少年の首から上に火がつけられ、顔の部分が燃やされたのだ。

ナイト・スィーツ
ちょっと冴えない会社の同僚相馬治郎から夕食の誘いを受けた瑞樹。瑞樹をミステリ好きと知って相談事があるのだという。食事をしてやっと相馬が切り出したのは、ミステリの新人賞の最終候補作に残ったということだった。
この新人賞は最後の大賞選びは公開で行われるという。選考委員たちが壇上に上がり、今回残った6篇の作品を歯に衣着せず叩いて行って、最後に大賞を選ぶのだという。そして相馬は瑞樹に最終選考会に来て欲しいと招待券を渡すのだった。

正太郎と冷たい方程式<番外編>
22世紀、観光用の中規模宇宙ステーションの1つでミステリ作家クラブと旅行社がタイアップして、ミステリツアーが行われた。目玉はミステリ作家が被害者と探偵役を務める犯人当てゲーム。
被害者になるのは売れないミステリ作家桜川ひとみ。ひとみがシナリオ通りに重力安定室で宇宙服を着て死体役になったとき、その隣の宇宙空間へ出るための減圧室から、ひとみを案内してきたステーションの宴会部主任浦河が、宇宙空間に放り出され、結果的に死んでしまったのだった。
システム的に犯人は、浦河と一緒に減圧室にいなければならないのに、その形跡は全くなかった。それに犯人が減圧室にいれば浦河と一緒に宇宙空間に放り出されてしまう。すると自殺か事故だが、事故の可能性はまったくないし、浦河がそんな面倒くさい方法で自殺するとも思えないのだった。

賢者の贈り物
クリスマスイブの夜、部屋でひとり膝に猫を抱いている女性。やがて夕闇が迫り、部屋が暗くなっても女性は動かなかった。その女性の頭の中には、むかしのクリスマスイブ、当時付き合っていた男に渡すはずだったクリスマスプレゼントのことが思い出されていたのだった。


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