猫は密室でジャンプする

猫探偵 正太郎の冒険その一、柴田よしきの猫探偵シリーズの第一短篇集で、飼い主の女流推理作家桜川ひとみとともに名推理を披露。
愛するSへの鎮魂歌
暇つぶしに入った本屋で見た雑誌に掲載された短編ミステリ「愛するSへの鎮魂歌」、作者は桜川ひとみ。俺はこの小説を見た瞬間、俺へのメッセージだということがすぐにわかった。ひとみは俺のことを待っているのだ。
雑誌を買って帰り、すぐに編集部経由でひとみに宛てた手紙を出したがなしのつぶて。そこで苦労してひとみの編集者の女を突き止めて、その女からバックをひったくってひとみの住居を突き止めた。
今度は直接ひとみに手紙を出すが、やはりなしのつぶてで、それならばと電話をかけるがいつも留守電。きっとひとみは悪い奴に軟禁されているに違いない。
こうなったら直接ひとみの住居に行って、ひとみを助け出すしかない。ひとみは琵琶湖畔のマンションに住んでいたが、俺はその近くのキャンプ場にテントを張ってひとみを監視した。
ある日、ひとみを攻める変な中年女がいることがわかった。ひとみに文句を言って、ひたすらひとみが謝っているのだ。ひとみを苦しめる悪い奴は、あの中年女だ。調べるとその中年女はひとみの隣室に住んでいる。俺はひとみを救うために、その中年女を抹殺することにした。

正太郎とグルメな午後の事件
ついて対談をするという雑誌の企画が行われた。対談者は正太郎の飼い主桜川ひとみとサスケの飼い主浅間寺竜之介。サスケは犬で、正太郎はもともとは浅間寺のところに飼われていたから、サスケと正太郎は犬と猫とはいえ兄弟同様に育った仲で、今開の企画でも2匹は特別ゲストとして参加することになった。
京都駅で東京からの取材陣と合流し、最初は桂の麦代餅、次は今宮神社のあぶり餅と浅間寺の車で廻ったが、駅から始まって不審な黒のワンボックスカーが尾行してきた。
そのワンボックスカーの後部座席にはポメラニアンが乗せられていたが、そのポメラニアンはなぜか吠えまくっていた。窓が閉まっているのでほとんど何を言っているのか聞こえないが、泥棒という言葉だけは聞こえた。
そして駐車場でいきなりバックしてきたそのワンボックスカーにサスケが轢かれそうになる。サスケと正太郎は取材陣の荷物に秘密が隠されていると睨んだが…

光る爪
私は不倫相手の徹が猫を飼っているのを知って、ふと興味を抱いて徹の家に行ってみた。家に外に立っていると、暫くして現われた猫、その猫の後をつけて行くと公園に入って行った。
そこには他の猫好きの女たちが集まって、世間話に余念がなかったが、ふと徹の猫を見ると爪が光っていた。爪にマニキュアが塗られていたのだ。私はそれを見ると徹の猫を抱いてマニキュアを拭き取ってやった。
そのまま猫を置いて家に戻った私だったが、翌日の新聞で徹の妻が殺されたのを知った…

正太郎と花柄死紋の冒険
突然気まぐれを起した桜川ひとみは早朝散歩に出かけた。お供は正太郎。そして、マンションの花壇の中で発見されたのは栗色の若いオス猫の死体。頭を鈍器で殴られて殺されていた。
その猫の死体の周りには、猫の足跡がたくさんついていたが、ひとみはそれを見てダイイングメッセージだと騒ぎ出した。猫が梅の花のダイイングメッセージを残して死んだというのだ。つまり猫殺しの犯人は梅の花柄の衣服を着た人物だというのだが…

ジングルベル
クリスマスに一人でいることができない女葉月。一度仕事でクリスマスイブを一人で過ごし、その結果発熱、さらには生理痛まで加わったことがトラウマとなって、遊びでも何でもクリスマス用に男を調達するか友人と過ごすことにするか、とにかく葉月にとってクリスマスを一人で過ごすことなどとんでもないことだった。
ところが年齢を重ねて来ると友人たちは家庭を持ち、合コンに出ても男は見つけられず、クリスマスの相手を見つけることは難しくなってきた。
29歳の年、考えたのはネットの出会系サイト利用。そしてそこでぴったりの相手塚原一郎を見つけた。何度かデートを重ね、クリスマスには琵琶湖方面に2人で旅行に行くことになった。
そのときにはもう葉月にとってはクリスマスはどうでもよくなっていた。塚原に惚れてしまったのだ。塚原の方も葉月に惚れたらしく、ついにプロポーズされた。
旅行の最終日、2人はふとした事からホームセンターに入り、そこのペットコーナーで小さな事故があり、塚原がまたたびの粉を浴びてしまった。それ自体は大したことはなかったのだが、そのまま外に出たところ塚原は猫にまとわりつかれて…

正太郎と田舎の事件
正太郎が桜川ひとみや浅間寺竜之介とともに連れて行かれたのは、福井県N村にある人気ミステリ作家玉村一馬の実家。そこには大きな蔵があり、中には先祖が集めた7億円ともいわれる骨董品が詰め込まれていた。
玉村家では相続税対策を含めて蔵ごと村に寄付することにして、そこはN村の博物館として無料で一般公開されることになった。
無料とはいえ、骨董品が収蔵されているので、セキュリティシステムが付けられ、午後6時の閉館後は表から太い閂がかけられたうえ、3つの鍵が付けられた。
一馬自身は東京在住で今回里帰りし、それに合わせて知り合いだった浅間寺を誘ったというわけだった。一馬の実家は一馬の兄の勝馬と妹の愛子、それにいとこにあたる二卵性双生児の姉妹舞と萌の4人が暮らしていて、一馬の帰省と浅間寺たちの来訪に、うちわで歓迎の宴を開いてくれた。
6時に蔵を施錠して、その直後から宴始まったが、村の診療所に勤める舞だけが帰ってこなかった。それがいつまでたっても帰ってこない。やがて捜索が始まり、舞は密室となった蔵の中で絞殺死体となって発見された。


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