コズミック

第2回メフィスト賞受賞作で、受賞時の題は「1200年密室伝説」といい、出版時に「コズミック 世紀末探偵神話」と改題された。1400枚の大作であり、その作風は当時のミステリ界に賛否両論の論争を巻き起こしたとされる。
出版されたノベルズの帯に、竹本健治は「異形の妖花」と書き、大森望は「新本格最凶のカード」と書いた問題作。

事件の幕開きは1994年1月1日深夜の平安神宮であった。多くの初詣客で賑わう平安神宮で、スリの須賀原小六が首を切られて殺された。
周囲には多くの初詣客がいたが、誰も不審な人物は目撃しておらず、凶器も見つかっていない、被害者の背中には被害者の血で密室一と記されていた。しかも一は大字であった。
その日の昼に2人目の被害者が出た。兵庫県で走っていた空車のタクシーの運転手の首が切られた。客が手を上げ車を寄せ始めたが、そのまま停まらずに民家の塀にぶつかり、車の中を見ると運転手が首を切られていたとうのだ。
やはり凶器は発見されず、被害者の背中には被害者の血で密室二と記されていた。二の字もやはり大字であった。
夜に入ると鳥取県のマンションで主婦が首を切断されて殺された。マンションは密室状態で、外から帰った夫と娘が死体を発見した。凶器は発見されず、被害者の背中には被害者の血で密室三と記されていた。三の字も大字であった。

事件が始まる前に都内のビデオレンタルショップからマスコミ各社、警察庁、JDC(日本探偵倶楽部)に「今年、1200個の密室で、1200人が殺される。誰にも止めることはできない。」というファックスが、密室卿の名で送られていた。
世間は連続する首切り密室殺人に驚愕し、犯人に密室卿の名を付けた。だが一切手掛かりはなく、警察の捜査もまったく進展しなかった。
翌2人になると、岡山県の国道でパトカーに追われていた暴走族が、広島県では新幹線のトイレでピアノ教室の女教師が、長野県のスキー場のゴンドラリフトで大学生が殺され、それぞれ4人目、5人目、6人目に犠牲者となった。
1月3日になると山梨県で歴史小説作家が仕事場にしていた書斎で、静岡県ではボウリング中の高校生が同じように殺され、不可能な密室殺人が続々と続く。
人々は密室卿に脅えたが、相手が密室に易々と出入りできるのだから対策の取り様もなかった。世論は沸騰し、警察は振り回され、マスコミは騒ぎ、政治問題化した。
そして京都にある日本の名探偵たち350名が集まる組織JDCでも、九十九十九たち名探偵が密室卿の正体を暴くべく活動を始めていた…

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