白亜館事件

石神探偵事務所を訪れた、ひいらぎ屋という居酒屋チェーンを経営する実業家柊遼の依頼は、20年前の兄の自殺事件を調べなおすことだった。遼には凱という兄と、睦という妹がおり、兄弟の父は起業家だったが、その事業は二男の遼が継ぎ、さらに事業を発展させた。
兄の凱は別宅であった山荘と周囲の土地だけを譲り受け、そこで世捨て人のような生活をしていた。凱は肉食恐竜の化石を発見し、その名もヒイラギリュウと名付け、一時は学会の寵児になったのだが、発見の経緯やその後、同じ恐竜の化石が発見されないことから疑惑をもたれ、やがてそれは捏造と糾弾されて学会を追われ、ヒイラギリュウの化石とともに山荘に引き籠ったのだ。
凱は白亜館という名の建物を敷地内に建て、そこにヒイラギリュウの化石を置いたが、その白亜館は誰にも公開しなかった。凱はヒイラギリュウは絶対にいたと信じ、それを疑う世間に背を向けたのだ。そんな凱に妻は疲れ果てて自殺し、そのことにショックを受けた凱は鬱状態となって、白亜館の中で首を吊った。
現在、白亜館には凱の息子の慎也が父の遺志を継いで一人で生活をしているが、慎也も凱と同じく山荘の敷地からは一歩も出ずに世捨て人のようであった。ところが凱が自殺してから20年たった今、凱の弟遼が兄の自殺に疑問を抱き調査を依頼してきたのだ。
今度の週末に白亜館には遼と妻の由宇子、息子の雅人、遼の妹睦とその愛人で画家の酒井が集まるという。遼の話を聞いた石神探偵事務所を預かる探偵野上浩太郎とその助手で中学1年になった狩野俊介は事件を引き受け、白亜館に向かった。
白亜館の主柊慎也はまるで幽霊のように 痩せ細った生気のない男で、愛想も全くなかった。一方、遼の妹睦は世界的にも有名な声楽家であったが奔放な性格、そしてその何人めかの愛人である酒井は、見るからに胡散臭そうな人物だった。間違いなく事件が起きそうな雰囲気だったが、その予兆通りに惨劇が発生した。
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