東京失楽園の謎

小説家の霞田志郎とその妹でマンガ家の千鶴が合作で仕事をすることになった。話を持ってきたのは千鶴の担当編集者で、原作霞田志郎、画霞田千鶴でローマ帝国時代の壮大な物語をマンガ雑誌に連載することになったのだ。
志郎と千鶴は連載前の打ち合わせのために上京し、千鶴の担当編集者の菊池真夜子にあった。打ち合わせは無事に終わり、2人は夜間まで別行動をとることになった。
志郎は神田の古書店街をうろついた後で、臨海副都心で行われるパソコン通信のオフ・ミーティングに向かう。このオフ・ミーティングには千鶴も参加するのだが、千鶴の方はそれまで菊池とともにブック・デザイナーの浅井竜の工房を訪ねることにした。
浅井竜の本の装丁は千鶴も興味があり、たまたま打ち合わせに向かう菊池に便乗することにしたのだ。千鶴は菊池とともに本郷にある浅井の工房を訪ねたが、玄関のブザーに応答するものはなかった。
不審を感じた菊池が家の周囲を見て回ると窓も閉まっていて中の様子がわからないという。玄関のドアを試してみると鍵はかかっていなかった。菊池は遠慮なく上り込み、千鶴も続いた。
浅井竜は作業場で、のどに深々とナイフを突き立てられて死んでいた。菊池は現場を千鶴に任せ、警察に知らせに走った。一人にされて恐怖におののく千鶴。
やがて2階から大きな音が聞こえた。千鶴はこわごわ2階に上がった。するとそこには警察に行ったはずの菊池の死体があった。頭を殴られたらしく、額がパックリと割れていた。
何が何だかわからずに驚く千鶴だったが、今度は部屋の外からドアが破られ煙が流れ込んできた。さらにドアの穴は広がり、そこからは悪魔のような顔が覗いた。
さらに追い打ちをかけるようにその悪魔は斧のようなものを振りかざした。パニックになる千鶴だったが、しばらくして今度は天使が現れた。赤い翼を背負った天使だった。それを見た千鶴は意識を失った。
一方、その直後に志郎も事件に遭遇した。オフ・ミーティングの最中に、参加者の一人でハンドルネームをドラゴンという男がトイレの個室で殺されていたのだった。
ドラゴンの首には天使のキーホルダーがかけられていた。そしてドラゴンが着ていたジャケットには、英国の詩人ミルトンの失楽園の一節が書かれた紙が貼りつけられていた。
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