維納オルゴールの謎

名古屋インペリアルホテルで開かれた、「ウィーンの銘菓とモーツァルトの夕べ」というパーティに三条刑事か誘われた霞田千鶴。
パーティは全国展開している倉坂ケーキ・クッキング・スクールの主催で、スクールの総帥でありケーキの第一人者でもある倉坂基が自ら司会進行を勤めた。
ピアノが生演奏される中で、様々なケーキやデザートが次々に紹介されて、さらにそれが好きなだけ食べられらるという素敵なイベントに千鶴は大満足だったが、パーティ半ばでピアノの付近から悲鳴があがった。
ケーキを載せたワゴンを押していたシェフが転んでワゴンが倒れ、ケーキがピアニストのドレスをめちゃくちゃにしてしまったのだ。ピアニストは憤怒の表情で立ち上がると、そのまま会場を出て行ってしまった。その後をすぐそばのテーブルにいた女性が追った。
ピアニストは倉坂杏、基の姪であった。また杏を追っていったのは基のマネージャー兼世話係の役割をしている竹田隆子という女性だった。
会場の気まずい雰囲気を基は何とか修復しパーティを続けたが、20分後今度は隆子が大きな悲鳴を上げながら会場のドアから飛び込んできた。そしてホテルの部屋で杏が死んでいると叫んだ。

隆子の声に三条刑事と千鶴はすぐに反応し、身分を明かして杏の死体のある725号室に向った。部屋のベッドには首を紐で絞められた杏の死体があった。
ベッドサイドのテーブルにはディスク式のオルゴールが載っていて、「美しき青きドナウ」を奏でていたが、三条たちが部屋に入ってから3分ほどで発条が巻き戻ったのか音が止まった。そして杏の死体の上には薔薇の大きな花束が置かれていた。
隆子によると会場を飛び出した杏は、追ってきた隆子とともに近くの控室に入った。杏は汚れたドレスを着替えたかったらしく、隆子に部屋から服を持ってくるように頼んだ。
隆子は725号室に行き杏の服を持って引き返し、杏はドレスを着替えた。そして一旦部屋に戻ったのだった。一方、隆子はドレスをクリーニングに出したが、その直後にキーが控室に置かれていることに気づいた。
つまり杏はキーを持たずに部屋に行ってしまったのだ。隆子はキーを持って725号室に向ったが、部屋のドアは開いており入って見るとオルゴールがなり、杏が死んでいたと言うのだ。
隆子は杏の服を取りに行ったときに725号室のドアは確実に閉めたという。ドアはオートロックだから、キーを忘れた杏は部屋に入れないはずであったが、それが部屋の中に入って殺されていたのだ。現場は逆密室ともいうべき状況であった。
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