倫敦時計の謎

隠れた名探偵でもある新進の小説家霞田志郎と、その妹で漫画家の千鶴は、海外で暮らす両親に代って名古屋市のセントラルパークで行われた大時計の完成記念式典に招かれた。
その大時計はロンドンのビッグベンを模したからくり時計で、地元名古屋の時計作家弥武大人の作品であった。弥武大人は奇矯な行動で知られていたが、日本でも有数の時計の作り手であった。
今回の大時計も元市長の高野一則、県会議員の北崎冬馬、聖ペンタ学院理事長の山部竜明という弥武大人に惚れこんだ3人が寄贈したものであった。霞田兄妹の父親が高野一則の知り合いで、その関係で式典に招待されのであった。
ところが間もなく式典が始まろうというのに、肝心の弥武大人が会場に現れない。からくり時計なので式典の進行に関係なくからくりが始まってしまうために、仕方なくセレモニーが始まった。
そして正午になってからくりの扉が開くと、そこから飛び出したのはシャーロック・ホームズの格好をした弥武大人の死体であった。

記念式典の現場は混乱したが、なんとか収拾され現場検証が始まった。弥武大人の死体は死後12時間ほどたっており、したがって殺されたのは深夜のことと考えられた。
そして殺害現場はからくり時計の中。からくりの部分の扉の内側に弥武大人の血が飛び散っていたのだ。前夜、弥武大人は最後の調整と称して大時計に向ったことは確認されているので、調整の為にからくりのある部屋に入り、そこで何者かに殺されたと考えるしかなかった。
しかし、からくりの部屋は中から施錠され、外部に面した扉も外からしか開かない。現場は密室であった。
霞田志郎は警察からは捜査協力を要請され、高野からも捜査を依頼された。ところが犯人は霞田に挑戦するかのように警察と高野のところに大時計の殺人現場を描いた葉書を送りつける。
そして高野の屋敷で高野の孫娘あずみを殺害した。あずみの死体はあずみの住む敷地内の離れにあった、弥武大人が作った巨大な砂時計の中、砂に埋もれて発見された。
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