上海香炉の謎

新進の小説家霞田志郎は隠れた名探偵でもあり、警察幹部からも信頼が厚く、妹で漫画家の千鶴と暮らしている。その霞田兄妹の住む家に志郎のファンで女子高生の水沢美智子が助けを求めて来た。
美智子の姉でイラストレーターとしても有名な圭子が失踪して行方がわからず、その捜索を依頼してきたのだった。名古屋に住む圭子は長崎に向かうために寝台特急に乗り込んだのだが、そのまま失踪してしまったのだった。
寝台特急に乗るところは美智子が見送っていた。だが終点の長崎でホームに迎えに来た友人の前には圭子は姿を現さなかった。寝台特急が停まるどこかの駅で降りたとしか考えられなかった。
圭子からはその後連絡もなかったが、圭子は旅行など全然慣れておらず、ある意味世間知らずなところもあって、それが美智子の不安感をさらに増した。

美智子と圭子は異父姉妹で、美智子の父親の正一は名古屋で会社を経営しており、また中国の陶器の蒐集家でもあった。その中でも宋の武将岳飛が愛用したといわれる上海香炉が自慢であった。
志郎と千鶴は圭子失踪の手掛かりを得るために、美智子のバースデイパーティに招かれる形で水沢家の屋敷に行った。そして正一自慢のコレクションを見せてもらい、その夜は水沢邸に泊まることになる。
その夜の水沢邸には正一と美智子の親娘、志郎と千鶴、中国陶器が好きな写真家能代隆夫、テレビタレント高岡聖子とそのマネージャーで聖子の前夫菊地孝一と使用人たちがおり、同じ敷地内の別棟に正一の妹国見松代とその夫の修三がいた。
翌朝、いつまでも起きてこない高岡聖子を部屋の外から起こすが返事がない。不審を感じてドアを破ってみると、聖子が首を赤いリボンで絞められて殺されていた。
聖子の部屋はドアは内側からチェーンが掛けられていたが、窓は閂ははずされた上に半開きになっていた。そして部屋の中には正一自慢の上海香炉が飾られていた。
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