夜叉沼事件

少年探偵狩野俊介が通う中学校の教師松永麗子が、石神探偵事務所を訪れて、20年前に誘拐されて誘拐犯に殺された兄宏の事件の真相を調べてほしいと依頼した。
松永宏は当時14歳の中学生で、古城ピアノ教室でピアノを習っていた。全国コンクールでも優勝したほどの実力の持ち主であったが、そのピアノのレッスンの帰りに誘拐されたのだった。
家に1千万円の身代金を要求する電話が掛かかったが、松永家は資産家ではなく、電話に出た父親の懇願で犯人は身代金を5百万に負けた。
その5百万を指定どおりに公園に持参したが犯人は現れず、その後松永家に「警察に報せたために身代金が受取れなかった。よって宏は殺す」と電話があった。
翌日、死後に切断した宏の薬指を犬が咥えているのが見つかり、宏の生存は絶望視された。だが、それから1年宏は見つからなかった。
誘拐から1年後、市の外れにある夜叉沼で幽霊が出るとの噂が広がり、幽霊の出た地点を掘ってみると、そこから白骨死体が見つかった。
その白骨死体は宏が誘拐された当時の服を着ていたし、薬指は欠損していた。松永宏は誘拐犯により殺されて薬指を切られ、薬指以外は沼地に埋められたのだった。

松永宏誘拐事件は、その後の警察の捜査でも犯人は挙がらなかった。20年後の今、宏と麗子の父親が体調を崩して寝たきりになり、麗子はせめて父が死ぬ前に犯人を見つけてほしいと石神探偵事務所に頼みに来たのだった。
さっそく石神事務所の所長野上英太郎と助手の少年探偵狩野俊介が捜査を開始した。そして沼をほとりに古びた1軒の民家を発見。
その民家に行くと中から浮浪者風の男が現れて、野上たちに暴力をふるい、話も出来ないうちに門前払いを喰わされた。仕方なく民家の所有者を調べると、市内でも有数な建築業者藤内不動産の所有であった。
さっそく野上と俊介は藤内不動産に乗り込み、会長で創立者の玄一郎とその孫で社長を勤める利明に面会するが、2人は沼の畔のボロ小屋には振れられたくない様子だった。
そしてその翌朝、民家に居ついていた浮浪者のような男が、民家の庭で死んでいるのが見つかった。近くに凶器になった大きな石が転がっていたが、その石はとても人間一人では持てないほどの巨石であった。
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