倒錯の帰結

この作品は「首吊り島」と「監禁者」という2つの小説が背中合わせに造本され、その中央に袋綴じの完結篇があるという凝ったもの。「倒錯のロンド」「倒錯の死角」に続く倒錯3部作の完結編でもある。

「首吊り島」の方は、新潟県の沖合に浮かぶ閉鎖的な孤島魚釣島に、東京から山本安雄というミステリ作家が、女に助けられながら逃避行するところから始まる。山本は東京で監禁され強制的にミステリを書かされていたところを女に救出され、女の故郷魚釣島に避難したらしいのだが、山本にもはっきりした記憶がない。
魚釣島は新見家という網元が支配する島だが、その当主厳一郎が亡くなって一週間ほどたったところらしい。新見家の敷地は広く、その一角から海上に通廊が伸び、その先には浮身堂というお堂があった。
このお堂は江戸時代から不吉なことが多く起きていた。お堂にこもって祈祷をしていた行者がお堂の中で殺されるという事件が立て続けに起きていたのだ。いずれのときも、母屋のお堂の見える部屋に複数人の目があって、お堂は常時監視されていた。
そして今、厳一郎もお堂の中で死んだのだ。病死ではあったものの不吉な影が新見家を覆っていた。そして厳一郎の死がまだ余韻を漂わせる中、浮見堂でまた殺人事件が起きたのだ。今度もまた密室殺人であった。
これから浮見堂で連続して殺人事件が起きる。山本は有名ミステリ作家ということで、その推理能力を期待されて新見家に滞在していたのだが、島の閉鎖性にも邪魔されてなかなか推理が進まない。

もう一方の「監禁者」の方は、東京東十条にあるアパートの一室に、山本安雄というミステリ作家が住んでいた。その山本がある日、サングラスにマスクをした大柄な女に、ある部屋に監禁されて、ミステリの執筆を強要される。
謎の女は山本のファン代表と名乗り、山本の最近の作品は姑息な倒叙ものに走るばかりで、世の中をなめていると告げた。そして初心に帰って、世間をあっと言わせる密室ものを書けと言うのだ。それが書き終わるまでは、監禁を続けると宣言した。
女の計画などすぐに破たんすると思った山本だが、度重なる脅しと暴力に屈し、自分が解放されるためにパソコンに向かいミステリを書き始める。舞台は首吊り島と呼ばれる孤島で、そこで密室連続殺人事件が起きるのだ。

この作品、相当の批判があるようだし、総じてスッキリ感がないというのが大方の感想のようだ。ボリュームもかなりある。これが折原作品といってしまえばそれまでだが、モヤモヤ感は残るだろう。
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