望湖荘の殺人

一代で会社を興し財を成した好色なワンマン二宮大蔵のもとに、毒を塗られた剃刀の刃が送られて来た。毒は致命傷にはほど遠かったが、大蔵は悪意を感じ、容疑者を5人に絞り込んだ。
養子の二宮雄一郎とその妻雪絵、フリーライターの片岡千夏、大蔵の秘書板倉小百合とその夫浩平の5人である。
雄一郎は大蔵の兄の孫であり、大蔵のもとで専務を勤めていたが、心の中でワンマンの大蔵に反発していて親子の関係を表面保っているのも、遺産相続目当てであった。
雄一郎の妻雪絵は結婚後にいきなり訪ねてきた大蔵に手篭めにされ、雄一郎に関係をバラすと脅かされて、その後も関係を迫られていた。
片岡千夏は大蔵の自伝を書いたが、その途中で大蔵に関係を迫られ金に釣られて関係を続けていた。板倉小百合の大蔵との不倫を強制されていた。
小百合の夫浩平は会社の金を横領し、それを大蔵に嗅ぎつけられていた。5人とも1日も早く大蔵に、この世からいなくなって欲しかった。

大蔵は5人容疑者を諏訪湖にある別荘望湖荘に招待した。名目は大蔵の誕生祝と出版記念の会であったが、参加は強制であった。
大蔵のパーティーが行われる望湖荘は、諏訪湖畔に聳える山の頂上にあり、見晴らしは最高であったが、パーティの日は台風が直撃、皆が集まった頃には暴風雨で別荘が孤立してしまった。
電話線も途中で切れたらしく、下界とはまったく連絡の取りようがなくなってしまった。別荘には管理人で普段は諏訪の町に住む長谷川留吉が執事役で世話を焼くことになっていた。
やがて夕食が始まるが大蔵は姿を見せず、食後にマイクを通して5人の容疑者を詰り犯人に自白を迫った。誰も応じないのを知ると大蔵は、楽しい趣向が用意されていると嘯き、直後に停電が起きた。パニックになる参加者達。
自家発電装置が働いて停電は短時間で回復するが、すぐに自家発電装置も壊れ別荘はロウソクだけに頼ることになる。これは大蔵の予定にもないことだった。どこかで歯車が狂い始めたのだ。
そして別荘の人間が一人、また一人と殺されていく。しかも外部の人間が入り込んでいる気配もあった。台風のなかで恐怖の別荘の一夜が繰り広げられるのだった。
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