丹波家殺人事件

埼玉県の田舎町白岡に住む丹波竜造は、親から受け継いだ家業の工務店を、自分一代で大きな建設会社にした人物であったが反面成金趣味で、自宅には純金の仏像を造っては仏間や祠を作りその中に置いて、信仰と称して相続税対策を行うしたたか者であった。
その竜造が台風の接近する中、愛人と愛人に生ませた子供とともに自分の所有するヨットで、伊豆大島に向けて航行中、ヨットが故障して漂流をはじめ、その結果遭難してしまった。
竜造の死体はあがらなかったが、ヨットの残骸が伊豆半島に流れ着き、船長や船員の死体も発見されて、竜造の遭難も確実視された。
竜造は自分の子供たちと同じくらいの年齢の後妻千春とその連れ子のリエ、それに長男健太郎一家、二男雄二郎、長女末子一家の四家族と同居していた。
ちなみに二男の雄二郎は独身であり、三男の三郎はヤクザと付き合って警察沙汰を起こし、勘当されて行方がわからなかった。兄弟仲は悪く竜造の死によって、その莫大な遺産配分を巡って争いが始まった。

弁護士のもとに預けられていた遺言書が公表され、遺産の大部分を長男の健太郎が相続することになり、健太郎は一人満悦だが他の家族は大不満で、たちまち諍いが起る。
健太郎は他の家族を適当にあしらい、その夜は竜造が税金対策で作った仏間に籠った。仏間には純金の仏像が安置されているほかは何もなく、泥棒対策で窓も作られておらず、唯一の出入口であるドアも鋼鉄製で、鍵と電子ロックの数字錠が取り付けられて厳重そのものだった。
ところが翌朝、この厳重な密室の中で健太郎は心臓麻痺で死んでいた。死体に傷がないことから病死と認定されたが、不可能犯罪大好きな白岡警察署の黒星警部は不満顔。
そんな時に丹波家にさらに事件が起る。庭に造られた祠の中で、竜造の長女末子が殺されたのだ。その夜は大雪が降り、地面には降り止んだ雪が積もっていた。
その中を末子が祠に歩いて行き、中に入って少しすると何者かに襲われた。その一部始終が母屋の2階の窓から複数の人間に目撃されていた。
その後、祠に駆けつけた末子の夫は、祠の中には末子の死体以外は何もなく、犯人は消え失せたと首を捻る。今度こそ密室の殺人事件と喜ぶ黒星だったが…
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