鬼が来たりてホラを吹く

不可能犯罪大好きの黒星警部が登場する娯楽本格作品。黒星ものの初長篇で家屋の消失や2つの密室という不可能犯罪のオンパレードで、黒星の迷推理が聞ける。文庫収録時に「鬼面村の殺人」と改題された。

合掌造りで有名な白川郷のさらに奥にある鬼面村。黒星警部と旅行雑誌のライター葉山虹子は、ひょんなことから鬼面村にやってきた。
鬼面村では国際芸術週間と銘うったイベントが行われていて、そのメニューの一つに村の素人劇団による推理劇「鬼が来たりてホラを吹く」が上演されるという。
その推理劇に挑戦してもらう意味で村では推理作家の来村を依頼したのだが、雑誌社は虹子を派遣し、バスの中で知合った休暇中の黒星警部も付いてきてしまったのだった。

鬼面村は山に囲まれた周囲2Kmほどの小さな盆地に、合掌造りの家が30ほどある小さな村で、家の多くも空家であり閑散とした淋しい村であった。
村長を努める重森家が村一番の有力者であったが、10年前までは内ヶ島家という重森家に対当する勢力があった。しかし内ヶ島家の当主が村長を勤めていた時に集団離村に失敗し、内ヶ島家は没落、さらに悪いことに重森家の次郎が内ヶ島家のミネ子を強姦し、それを苦にしたミネ子が峠から飛び降り自殺をしていた。
だが、そのミネ子は生きていたらしい。黒星達が村に入るとき10年前の格好のままのミネ子が手に鎌をもち、復讐に燃えた目で鬼面村を見ていたのだった。
鬼面村に入った黒星達は歓迎されたが、その夜合掌造りの家が一軒消えてしまった。寝る前には確かにあったはずの合掌造りの村の公民館(旧内ヶ島家で黒星達が泊まった重森家と楕円形の池を挟んで反対側に建っていた)が翌朝跡形もなくなっていたのだ。
黒星と虹子はこの家屋消失を捜査するが、黒星の解明はどれも酷いものばかり。事件の謎は解明されないままに今度は山の中の温室の中で全裸の男の死体が見つかる。発見したのは黒星であったが、その直後に黒星が何者かに殴られて気絶、その間に死体が消えてしまう。
温室は外からもダイアル錠、中から掛け金が掛けられた密室であった。密室好きの黒星警部は絶対に犯罪があったと狂喜し、調べ始めるが今度は重森家の二階で密室殺人が起きる。
出入り口は中から鍵が掛けられ、障子の入った窓は中から心張り棒が噛まされていたのだった。
2つの密室と家屋の消失という不可能犯罪に狂喜する黒星警部であったが…
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