福家警部補の挨拶

刑事コロンボを長年愛してきた著者のよる、日本版コロンボ福家警部補。「オッカムの剃刀」はNHKでドラマ化された。
最後の一冊
江波戸図書館長天宮祥子は、図書館の創設者江波戸康祐の息子宏久を殺すことにした。町工場を一代で大企業にし、私財を投じて貴重な図書を集めた康祐が死去し、ドラ息子の宏久は遺産を相続したのだが、宏久は金の為に図書館を売り跡地にマンションを建てようとしたのだ。
こんなことが許されるはずがない。康祐が死んだ後は、その遺志どおりに祥子が図書館を守っていかなければならないのだ。そのためには宏久に死んでもらうしかなかった。
祥子は深夜の図書館に宏久を呼び出した。金に困っている宏久に高価な本を持ち出させて保険金詐欺を働こうと持ちかけ、のこのこ出て来た宏久を本で叩き殺し、書棚をその上に倒して事故に見せかけようというのが計画だった。
計画通り隙を見て本で頭を強打し、本がぎっしり詰った古い者棚を鉄パイプを使ってその上に倒して宏久を殺したまではよかったが、福家という背の小さな女警部補が責任者だといって乗り込んで来てから、計画が狂い始めた。福家は事故にしては辻褄があわないことが多すぎるというのだ…

オッカムの剃刀
城北大学講師柳田嘉文は、過去の秘密を握り恐喝してきた准教授池内国雄を殺害せざるを得ないと決めた。夜、勉強会に出席する池内を、会場のそばの狭く人通りがない路地で待ち受けて殺すのだ。
その近辺では、この2週間に4件もの強盗事件が発生していた。池内殺しを強盗の仕業に見せかけるのだ。そして絶対に池内がその路地を通るように、眼鏡を盗んで車を運転できないようしたり、タクシーを必ず手前で降りるように工作し準備を整えた。
池内は柳田の計画通りにタクシーを会場の手前で降り、ある買物をしてから路地に入ってきた。黒のジャージで物陰に隠れていた柳田は金属バットで襲いかかり池内を殺し、強盗に見せかける工作をした。
万事が計画通りに進んだが、福家という背の小さな女警部補が責任者だといって乗り込んで来てから、計画が狂い始めた。福家は強盗にしては辻褄があわないことが多すぎるというのだ…

愛情のシナリオ
女優の小木野マリ子と柿沼恵美はライバル関係にあった。そして2人は映画の重要な脇役の座を争うことになった。2年前の離婚騒動以来、鳴かず飛ばずであったが、最近になって少しづつでも役が付き始めたは恵美はどうしてもその役を欲しかった。
そこで探偵を雇いマリ子の不倫の証拠を握り、マリ子からその座を奪おうとした。マリ子は役の座よりも、秘密を守らねばならなかった。そこで恵美の殺害を企てた。
恵美から家に呼ばれたのを幸い恵美を睡眠薬で眠らせて、ガレージで車のエンジンを掛けて一酸化炭素中毒死させる、というのがマリ子の計画だった。
睡眠薬を常用していた恵美が、車のエンジンをきり忘れてしまい、事故にあったという筋書きであった。計画通り恵美は死んだが、福家という背の小さな女警部補が責任者だといって乗り込んで来てから、計画が狂い始めた。福家は現場の様子から事故ではないというのだ…

月の雫
銘酒月の雫の醸造元谷元酒造は、いい酒を造ってはいるのだが、経営的には破綻寸前だった。ライバルの佐藤酒造は利益だけを追求して大きくなったが、酒としては評価が低かった。どちらの経営者も三代目であったが、三代目の経営方針が180度違った結果だった。
日本酒の需要が落ち込み、商売に陰りが見えた佐藤酒造社長の佐藤一成は、ありとあらゆる手を使って谷元酒造を吸収しようと画策した。月の雫のブランドが欲しかったのだ。
谷元酒造社長谷元吉郎は、そんな佐藤が許せなかった。そこで吸収合併に応じるように見せかけて、深夜自分の酒蔵に誘い込み、醸造タンクの中に墜落死させる計画を立てた。ちょうど1号タンクは水漏れがしていて、水が張ってあるだけだった。
何も知らない佐藤が月の雫の秘密を盗もうとして酒蔵に忍び込み、誤って水を張ったタンクに落ちたと見せかけるつもりで立てた谷元の計画通りに運んだかに見えたのだが、福家という背の小さな女警部補が責任者だといって乗り込んで来てから、計画が狂い始めた。福家は盗みに入ったにしてはおかしいなことが多すぎるというのだ…


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