慟哭

1ヶ月ほど行方不明だった幼女の服が多摩川の河川敷で発見され、次いで全裸にされた幼女の死体が黒いビニール袋に入れられて同じ河川敷で見つかった。
直ちに捜査本部が設けられ、本部長には警視庁捜査一課長の佐伯警視が就いた。佐伯警視は、大物代議士押川英良の庶子で警察庁の佐伯長官の娘婿のキャリアであった。
通常警察の世界では佐伯警視のようなキャリアは公安畑を主に歩むのであるが、佐伯は自ら希望して警視庁捜査一課長に就任した。
このことは異例中の異例で、ほかのキャリアの思惑を狂わせ、現場の刑事は佐伯のことを軽侮の目で見つめ、佐伯のシンパはごく少数であった。
また、佐伯は妻である佐伯警察庁長官の娘美絵と折り合いが悪く、別居状態にあった。美絵の浮気が原因であったが、佐伯も記者の須藤伊津子と関係を持っていた。
これらが幼女誘拐殺人事件の捜査に徐々に影を落としていく…

幼女誘拐殺人事件は、一週間たってもほとんど進展はなかった。犯人の影はまったくと言っていいほど捕らえられなかった。捜査本部に焦慮が広がっていった。
やがて幼女誘拐事件は連続幼女誘拐事件に発展した。2人目、3人目の被害者が出たのだ。世間は警察を糾弾し、佐伯の私生活まで暴かれた。
幼女誘拐事件の裏で新興宗教にのめり込む一人の男がいた。松本というその男は一人娘を失い、娘の復活だけを願って新興宗教によりどころを求めた。
熱心に活動をし、布施をし、やがて幹部になっていったが、その新興宗教では恐ろしい儀式が行われていた…
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