法月綸太郎の功績

法月綸太郎の第3短篇集。2000年春から02年春にかけて発表された法月親子のシリーズ5篇。
イコールYの悲劇
世田谷区のマンションの部屋で足立茜という若い女性が殺された。茜が死んでいたのは姉の坂崎翠の部屋で、翠の夫庸介が出張している間に姉のところに泊りがけで遊びに来ていて、この惨劇にあったのだった。
茜は手に黒と赤の二色ボールペンを持ち、そのボールペンで電話の横のメモ用紙にダイイングメッセージを残したらしい。しかしそれは犯人に破りとられていた。
だが破られた次のメモ紙に、=Y(イコールY)と筆圧で前に書かれた文字が残されていた。いったい=Yとは何のことなのか…

中国蝸牛の謎
作家の鹿沼隆宏が雑誌の企画で法月綸太郎と対談し、久しぶりに本格推理小説を書くと宣言した。それから一週間後に雑誌の編集者から綸太郎のところに鹿沼が部屋に鍵をかけて閉じこもり、綸太郎に会いたいと叫んで困っているとの、電話が入る。
綸太郎が鹿沼の家に駆けつけると、鹿沼の書斎は中から鍵がかけられ、ベランダに廻ってもサッシの窓にはクレセント錠が内側からかかっていた。
綸太郎と編集者は窓ガラスを割って書斎に入った。書斎はもぬけの殻で鹿沼はいなかったが、書斎の中の全てものは逆さまにされていた。家の中を捜すと寝室に首を吊った鹿沼の縊死体があった。
鹿沼の死は自殺なのか他殺なのか?いずれにせよ密室の書斎からどうやって抜け出したのか?そして書斎の中のものが逆さまにされていた謎は…

都市伝説パズル
大学のボーリング部の7人が、部員の一人松永俊樹の部屋に集まって夜遅くまで飲んでいた。10時半過ぎにメンバーの一人三好信彦が松永と喧嘩をして帰り、それで雰囲気が白けて30分後には解散して皆松永の部屋を出た。
しばらくして広谷亜紀が携帯電話を松永の部屋に忘れたことに気づき、松永の部屋に取りに戻る。部屋は施錠されておらず、真っ暗であった。
亜紀は松永が鍵をかけ忘れて寝てしまったと思い、電気をつけずに携帯電話を探り当て、再び家路に着いた。
翌朝、松永の死体が部屋で発見される。胸をアイスピックで刺され、部屋の壁には松永の血で「電気をつけなくて命拾いしたな」と書かれてあった。
このメッセージは亜紀に向けたもので、亜紀が携帯電話を取りに部屋に戻ったとき、暗闇の中に犯人が息を殺して潜んでいたのだ。この話を法月警視から聞いた綸太郎は…

ABCD包囲網
足立区の公園で女性の他殺死体が見つかった事件で、自首してきたのは鳥飼俊輔という公務員。だが、応対した久能警部は鳥飼が自首マニアであり、自首が嘘であることをすぐに見破る。鳥飼は帰され、事実数日後に犯人が逮捕された。
それから10日余りが過ぎて、警視庁の久能警部のもとを鳥飼が訪ねてきて、北区のマンションの屋上から失業中の男を突き落としたと自首する。久能は再び嘘と見破り、鳥飼を追い返す。そのマンションから男が飛び降りたのは事実だが、自殺として処理されていた。
それから3週間ほどして、再び久能の下に鳥飼が現れた。今度は地下鉄で学生を線路に突き落としたと言い出した。事件は本当にあったが、その事件も自殺として処理済であった。いったい鳥飼の目的は何なのか…

縊心伝心
ひとり暮らしのOLが、不倫相手の男にこれから自殺すると電話をした。電話はOLの住むマンションから架けられ、男はそれを成田空港から東京に向う列車内で携帯電話で受けた。
男がOLのマンションに駆けつけたのは、電話から1時間後のこと。OLはロフトベッドのスチールパイプに荷造り用のロープを括りつけて死んでいた。自殺と思われたが、調べてみるとOLの死因は縊死ではなく後頭部の打撲で、室内のワードローブの角で打ったものだった。
そして室内に敷かれたホットカーペットに不審な点が…


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