二の悲劇

清原奈津美(キヨハラナツミ)と葛見百合子(カツミユリコ)は、高校時代から同じクラスで、顔立ちや体型も似ていた。文学好きなところも共通で、親友同士であった。同級生からも「カツミ・ナツミ」コンビと呼ばれていた。
2人は高校を卒業すると東京に出て一緒に部屋を借り、共同生活を始めた。居間兼寝室は各々独立していて、電話も別々一応最低限のプライバシーはあったが、仲良しの2人はお互いの部屋を行き来することも多かった。
仕事は奈津美が化粧品メーカーの出版局の編集に携わり、百合子は学術系の出版社に勤めていた。上京して数年、平穏な日々が続いたが、やがて生活に大きな変化が起きる。
百合子に恋人ができたのだ。恋人は三木達也という、奈津美の仕事場の先輩だった。もちろん奈津美も承知していて、3人で食事をすることもあった。

さらに奈津美にも相手ができた。奈津美は、そのころ連載の仕事で京都の売れっ子作家竜胆直巳のもとに原稿を取りに月1回通っていた。
京都の街中を歩いている時に奈津美は高校の同級生二宮良明を見かけ声をかけたのだ。ところが二宮は奈津美のことを百合子と勘違いして、会話を始めた。
奈津美は訂正の機会を逃したが、それ以後二宮と遠距離恋愛の関係になる。奈津美は引っ込み思案で、何度か名前を訂正しようと考えるが、いつも訂正できずに日にちだけが経っていく。
ついに居たたまれなくなって、そのこと百合子に相談しようとした矢先、由利子が三木の子を身篭ってしまう。百合子は精神的に不安定になり、結局は三木の子を堕胎した。
百合子の精神の不安定さはさらに増し、名前の件など相談できる雰囲気ではなくなる。それどころか百合子は奈津美に対し、距離をおき生活を監視するようなそぶりを見せる。

そして事件が起きた。奈津美が殺された上に、ガスレンジで顔を焼かれるという猟奇的なものだった。発見者は三木。
百合子とも奈津美とも連絡が取れず、心配して部屋を訪ねたところドアには鍵が掛っておらず、部屋の中には奈津美と思われる死体があったという。
警察は状況から百合子が奈津美を殺した上、顔を焼き逃亡したものとして、指名手配をかけた。司法解剖された奈津美の胃の中からは小さな鍵が出て来た。死の直前に飲み込んだらしい。
その鍵を見た法月綸太郎は日記帳の鍵と見当をつける。さらに補強証拠があがり、奈津美の日記帳は百合子によって持ち出されたものと考えられた。そこに事件のキーがあると綸太郎は考える。
だが、その百合子の死体が京都で見つかった。逃げ切れないと考えて飛び降り自殺したらしい。だが現場にも百合子が泊まったホテルの部屋からも奈津美の日記帳は見つからなかった。綸太郎は日記帳にこだわり京都に向かった。
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