実況中死

雷雨の街中で偶然に夫の車を見かけた岡安素子だが、その助手席に見知らぬ若い女が乗っているのを見て、頭に血が上った。なんと夫は平日の真昼間から、浮気をしていたのだった。買い物袋を放り出し、近くにあった放置自転車で夫の車を悪鬼の形相で追いかけた。
だが素子はいきなり気を失ってしまう。やがて脳裏に見えてきたのは見知らぬ女。その女は狭い部屋で壁に押し付けられ、やがて苦痛に顔をゆがめる。喉を締められているらしい。そして女はぐったりし、床に倒れた。
そこで目が開き、あたりを見渡せばそこは病院のベッドの上。聞けば自転車で走る素子に、雷が落ちたのだという。それで気を失って病院に運ばれたらしい。だが素子は奇跡的に助かった。脳にも体にもまったく異常がなく、そのまま帰宅を許された。
だが、素子の体は落雷を機に変っていたのだった。他人の見ている光景が、そのまま見えてしまうのだ。しかし常時ではない。突然ノイズが入り、やがて誰かの眼を通して後継や風景が見えるのだ。その誰かはいつも同じ人間だったが、それが誰かも男か女かもわからない。
考えてみれば当然だった。その誰かの眼になっているようなものだ。そして突然終わるのだ。その誰かはストーカーをしているらしい。やがてその誰かがストーカーをしていた女が、マンションで絞殺された。
素子は放ってはおけず、自分が特殊な能力を持っている旨の手紙をマスコミに出したが反応はゼロ。一方、素子からの手紙に反応したマスコミもあった。反応したといっても、興味本位に扱われ、その手紙がミステリ作家保科匡緒のもとに回ってきた。
保科は超能力の不正使用を監視している神麻嗣子に話をし、警察の能解警部とともに捜査に乗り出す。どうも素子が見ている誰かは、ストーカーどころか連続殺人魔らしいのだが、その誰かがわからない。ただ被害者の線から、どうも保科のファンのひとりらしいということがわかった。

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